第19回
時間に無駄のないランス巡り 後編
2014.08.08 [蓮實 真知]
「テタンジェ」から出た時間は、15時前。次の予約は、15時半の「G.H.マム」だったのですが、その前に、「テタンジェ」から歩いて数分の「ヴーヴクリコ」に寄りました。
未亡人になったクリコ夫人が広めた、あのオレンジ色のラベルそのもののような建物で、サロンは、おしゃれで、洗練されていました。宣伝が上手なのか、知名度が高いのか、学生くらいの若い女性でかなり賑わっていました。プランターやお庭に植えられた花たちは、マリーゴールドをはじめ、オレンジ色の花々でいっぱいでしたし、ワゴン販売している車もあのオレンジ色で、全体的に統一感があり、かわいらしい印象でした。
時間に追われている私たちは、残念ながら、サロンとショップのみを見学し、先を急ぐのですが、この後向かうメゾンまでは5キロほど離れていましたので、歩くには、遠く、タクシーで行くことになりました!
それなのに、観光地であるのにも関わらず、なかなかタクシーが来ず、とにかく歩くことに・・・。15分ほど歩いた頃に、やっと、ヘアサロンにご年配女性を送迎したタクシーに出逢い、降りるそばから、乗せていただけないか交渉し、いざ出発! どうにか予約の2、3分前に「G.H.マム」に到着し、事なきを得ました。ふぅ・・・。
何が嬉しかったかって、タクシーを拾えたことももちろんですが、運転手さんに恵まれたことです。目的地に到着するまでに、メゾンが密集していることもあるのかもしれませんが、いくつかのメゾンの前を通ってくださり、説明もしてくださいました。横目に見る「クリュッグ」や「ルイロデレール」の看板だけでも、一人で興奮し、ウキウキしたのは言うまでもありません。わがままし放題言いましたが、「G.H.マム」見学後の予定が立ち、浮き足立ちながら、レセプションに向かいました。
「G.H.マム」は、モナコのF1レースの公式シャンパーニュにもなっていて、表彰台に掲げられる勝利の美酒ですので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。斜めにかかるレッドフラッグが印象的ですよね! 「ヴーヴクリコ」にオレンジ色の花々が植えてあったと前述しましたが、こちらのお庭には、さりげなく赤と白のベゴニアが植えられていて、全体的にその2色で統一されていました。そのようなメゾンごとの特徴を見つけるのも楽しみのひとつでもありました。こちらのカーヴは、とても大きく、なんと全長25km。博物館のようなブースも持ち合わせるもので、以前のラベル(エチケット)を掲げる古いボトルや、以前、シャンパーニュ作りに使っていた道具や機械なども拝見することができました。若干、ぎょっとしたのは、これらが、全て、赤いライトで照らされていたこと。薄暗いカーヴに、この赤いライト・・・なんとも不気味な感じでした。おそらく、一人で歩くのには、相当な勇気が必要なのではないかと・・・笑。
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