『ものづくり』からできること

バックナンバー

第10回
「青い空と白い雲」に学ぶ

昔、人の印象を色に喩える遊び(占い?)がありました。私のイメージは「青」か「白」だそうです。それは何を意味しているのかは分かりません。だからというのではないのですが、私はその2色がとても好きです。空を見上げたとき、青一色の晴天も良いのですが、青をバックに白い雲がある方がとても気持ち良く感じます。
私が小学生の頃、国語の教科書に載っていた話が、今でも私の脳裏に焼き付いています。 青い空が「海」に喩えられ、白い雲が「クジラ」だった話です。私はその真っ青な海を自由に泳ぎ回る大クジラに憧れた子供のひとりでした。

空は天体の世界で「背景」になり、星は主体の「モノ」と捉えることが出来ます。そもそも宇宙は「空間」と言われているので、この世で最大の器とも言えます。

モノは必ず何かに支えられています。または、囲まれていると言えるでしょう。海とクジラの関係のように、青一色の中の白い形状が織り成す存在感が私たちの心を捕らえます。
空にぷっかりと浮かぶ白い雲の形状を興味をもって見(観)ることができるのも、自然が作り出した偶然であるからかもしれません。このとき、空がいつもと違う色であったとしたら、果たして雲の存在はどのように私たちの目に映るのでしょうか。もしかすると、その視線は雲の一点から空全体に移ってしまうような気がしますが、皆さんはどう思われますか?

背景を「展示空間」、主体を「商品」と置き換えてみます。展示空間が単純なほど主体の商品が目立ち、それとは逆に展示空間そのものに特徴的な要素を与えると、主体が背景に溶け込んだ状態になります。どちらが良いとは言い切れませんが、近年では後者が採用される傾向にあります。それは、消費者に大枠である「使用環境」をアピールするためだと言えます。商品の購入後の、そのモノを取り巻く全体像を見せるということ。道具とはいえ、装飾品のような意識で「モノ」と「背景」とのバランスに気を付けるということがポイントです。主体となる「モノ」を邪魔しない「背景」であり、尚且つ、主役を引き立たせる背景でなければいけません。

コメント