第4回
冬に咲くミステリアスな山野草
2012.01.24 [西原 升麻]
冬は、野に出て山野草の花を楽しむのには向いていません。日本には四季があり、春夏秋冬の区別も明確(最近は少し怪しくなってはいますが)です。日本の冬は、普通の山野草が花を咲かせるにはあまりにも気温が低すぎるのです。一般的な地域でも、最低気温がマイナスになることが珍しくなく、この時期に咲く山野草はほとんどありません。
ですから通常、冬は山野草の花を楽しむのはお預けで、他の楽しみ方をすることが多くなります。
撮りためた写真を整理したり、気になっていることを調べたり。また、翌春に花を楽しむための場所を探す準備を行うなど、スポーツでいえばシーズンオフとしての過ごし方をします。
試しに、本屋さんで山野草の図鑑を探してみてください。季節ごとに分かれた図鑑や、目次が季節別になっている図鑑などがありますが、いずれも春・夏・秋はあっても、冬は無いのが普通です。
ところが最近は(最近という言葉を使った理由は後で説明します)、冬に花をつける山野草があります。タンポポや一部の草でも、条件が良ければ冬でもぽつりぽつりと咲く山野草はありますが、その花はごく普通に群生して咲くのです。
それは「ホトケノザ」です。「ああ、春の七草のあれか!」と思われるかもしれません。確かに春の七草は、セリ・ナズナ・ゴギョウ(オギョウ)・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの七つの草を指し、「ホトケノザ」はその中の一つですね。
[写真1]集団で咲くホトケノザ
しかし、今回紹介するホトケノザは、七草のホトケノザとは無縁の別物(?)です。
実は七草の「ホトケノザ」は、古い時代の呼び名であり、それがどの草を指すのか諸説あり、はっきりしない時代が続きました。それが明治以降に特定され、別の正式名がつけられるようになったのです。
その名前は「タビラコ(コオニタビラコともいいま す)」で、タンポポに少し似た花です。ただ、現在でも異論を唱える人がいるので、ややこしさは今でも残っています。
少しこんがらがってきたので、整理しましょう。
コメント