第5回
ツボミが名前の由来になっている花
2012.02.14 [西原 升麻]
[写真4]咲くとアジサイだと分かります
もっと開いたものが次の写真4で、これを見ればだれでも分かると思います。そう、これはアジサイの仲間です。咲いてしまうとアジサイ(もう少し正確に言うとヤマアジサイ)そのものですが、ツボミに特徴があるので「タマアジサイ」と呼ばれています。アジサイの中でツボミがまん丸いのはこれだけで、ボタンの花のツボミみたいに大きなツボミのときに出会ったら、なかなかアジサイとは分からないかもしれません。
タマアジサイとはなかなかしゃれた名前ですが、植物名の由来には幾つかのパターンがあります。
- 植物の状態からつけられたもの
- 植物の習性からつけられたもの
- 感覚的につけられたもの
- 生活の中からつけられたもの
- 似た動植物や、産地、人名などからつけられたもの
- 言い伝えや物語からつけられたもの
- その他
それぞれがまた細かく分類でき、例えば「植物の状態からつけられたもの」をもう少し細かく分けると、
- 全体から受ける感じから…ヒメスミレ、チゴユリ、オニアザミ
- 根の状態から…エビネ、ナガイモ
- 茎の状態から…ウツギ(空木)、ツルリンドウ
- 葉の状態から…ホトケノザ、マルバスミレ
- 花の状態から…ネジバナ
- 種子の状態、性質から…オシロイバナ、ネコノメソウ
- 葉や花の数から…ニリンソウ、ヨツバヒヨドリバナ
このように多くの名づけパターンがありますが、日本の花の中でツボミの状態を名前にした花はタマアジサイくらいではないかと思います。それだけ、このなんでもない丸いツボミが珍しく見えたのでしょう。丸いツボミは数あれど、アジサイの花全体が大きな丸いツボミ状になっているのは確かに変わっています。
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