第11回
雑草の王様「タケニグサ」
2012.08.07 [西原 升麻]
このタケニグサには特徴があり、一度見たら忘れられません。まずは葉。大型で人の手より断然大きく、しかも葉の周辺が大きく切れ込んでくびれています。これだけでも印象的ですが、もっと目立つのはその大きさ。小さいときから他の植物を圧倒し、少し大きくなれば草というより木のように見えます。その背丈は2メートル以上になることもあり、遠くからでも、走っている車の中からでもよく見えます。
大きな葉
小さいときから存在感が
このタケニグサ、二通りの漢字があります。一つは「竹煮草」で、この草を竹と一緒に煮ると竹が軟らかくなるという理由から付けられたものです。
もう一つは「竹似草」。竹に似ている草だからということで付けられ、こちらの説の方が有力なようです。どこが竹に似ているかというと、「茎の中が中空で竹の幹のようだ」という説が多く、ほかには「色づいた果実がいっぱいついている様子が枯れたネザサに似ている」というものもありました。
私は単純に、高く伸びた先端の花の様子が、竹の伸びた先の姿によく似ているからではないかと思います。
写真を見るとわかりますが、左がタケニグサ、右が竹で、タケニグサの枝の分かれ方や風に揺れる様子は、竹のそれらにそっくりです。これなら「竹似草」が実感できますね。
タケニグサ
本物の竹
また、タケニグサには「チャンパギク」という別名があります。言われてみれば、確かに菊の葉を大きくしたような形です。でも、「チャンパ」って何でしょう?
実は「チャンパ」は辞書にも載っていて、アジアの古い王国のこと。その昔、ベトナム南部辺りに栄えた民族国家です。王国そのものは滅亡してしまいましたが、遺跡として今も残っていて、1999年「ミーソン遺跡」として世界遺産にも指定されています。
ただ、それでもチャンパとタケニグサの関係はさっぱりわかりません。
どうやらタケニグサは、その風変わりな姿から、日本のものではなく異国のものだろうと思われていたようで、異国の象徴である「チャンパ」が名前に使われたとされています。
ただ、なぜ異国の象徴がチャンパだったのかということまでは分かっていないようです。
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