第13回
「ホトトギス」といっても鳥ではなく、花の「ホトトギス」です
2012.10.09 [西原 升麻]
ホトトギスは面白い花ですが、花はそれほど大きくなく、ひっそり咲いていることが多いので、どちらかというと目立たない花です。人によっては模様が病的なものに見えるのか、地方によっては、シビットバナ、ソウシキバナ、ソーレン(やはり葬式という意味)バナなどという、ありがたくない名前が付けられたりしています。 また、園芸品種も少しは出てきていますが、まだ人気のある花とはいえません。 しかしホトトギスは、日本にとって大事な花といえると思います。ホトトギスはユリ科の植物で、ホトトギス属という分類に属しています。 このホトトギス属、世界で19種とか20種といわれていて、その分布は非常に狭く、日本、台湾、朝鮮などの東アジアに限定されています(最近では中国でも発見されているそうですが)。そして驚くことに、日本には12種または13種が存在し、しかもそのうち10種は日本にしか存在しないというのです。 そして、実はホトトギスは日本が発祥の地ではないかといわれているのです。世界中でホトトギスの半分は日本にしか無いとくれば、がぜん大事にしたくなります。
黄色で、花びらが反り返らないのが特徴のタマガワホトトギス。
黄色のホトトギスは特に数が少ないので、この写真は霧ヶ峰在住のO先生に提供して頂きました。
ホトトギスの花の色は、普通は白地に紫の斑紋なのですが、中にはタマガワホトトギスのように黄色地のものもあります。
今まで紹介したヤマジノホトトギスとタマガワホトトギスは、北海道から九州まで分布しているので、見られる機会は比較的多いといえます。平地では無理だと思いますが、山であればそれほど高山でなくとも見られます。陽の当たる明るい所ではなく、少し湿った日陰の場所の方が見つかると思います。
ただ、ほかのホトトギスの多くは地域限定で、どこでも見られるものではないようです。どちらかというと日本の西半分に偏っていて、特に黄色いホトトギスは西日本限定の種類が多いようです。
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