第17回
山で修行しているような山野草
2013.02.26 [西原 升麻]
なお、よく調べると外皮が青いままの種類もあり、それはアオザゼンソウと呼ばれているようです。ここの場所でも、青いままとまではいきませんが、青っぽいものを時々見かけました。アオザゼンソウがあるというのも分かります。
ザゼンソウは、地上に顔を出してからしばらくすると外皮が横方向に開いてきて、中に玉のようなものが見えてきます。
ザゼンソウの中には丸い玉が見えます
ところで、ザゼンソウは「座禅草」と書きます。この名前の由来の一つとして、中の丸いかたまりが座禅をしている僧に見えるという説があります。確かにそう見えなくもありません。中の丸いところが顔で、その下の太く短い軸が座している姿といったところでしょうか。頭でっかちで、少しユーモラスな座禅僧といえそうです。
もう一つの説は、全体の姿を座禅する僧に見立てるというものです。どこから見たらそれらしく見えるのかを知るために、ザゼンソウの周りをいろいろな方向から眺めながら座禅の姿を思い浮かべてみました。
縁起だるまは最初片目を入れ、翌年両目を入れて
お焚(た)き上げ供養を行います
一般的なザゼンソウの外側は赤いので、「赤」「座禅」とくれば、だるまを連想します。
だるまは、中国で禅宗の基を築いたとされているインド出身の僧・菩提達磨(Bodhidharma=ボーディダルマ)、通称「達磨(だるま)大師」の座禅姿がモデルだとされています。
このだるま、縁起だるまとして日本全国に広まっていますが、今のような張り子のだるまは群馬県旧碓氷郡(きゅううすいぐん)鼻高村の少林山達磨寺が発祥で、現在では全国の8割のだるまがこの達磨寺の周辺で生産されています。
修行をしているようなザゼンソウ
別名ダルマソウというのも納得です
ザゼンソウを少し斜めから眺めると、同じ方向から見たダルマの姿とよく似ています。特に、だるまの顔周辺のカーブとザゼンソウの外皮のカーブは、不思議なほど同じイメージがします。
別名を「ダルマソウ」というのもうなずけますが、だるまは普通正面から見るものなので、この角度で見るときは、やはり「ザゼンソウ」の方が似合うと思います。
この通り、ザゼンソウは変わった植物ですが、ところでどこが花なのか分かりますか?
全体が花のように見えますが、外側の赤い外皮は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれ、花ではなく苞(ほう)というツボミを包んでいたものが大きく育った、葉の変形したものです。
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