第19回
我が国には草にも桜がある
2013.04.23 [西原 升麻]
しわしわなサクラソウの葉
サクラソウの芽生え
サクラソウは、葉がまた独特な様相を呈しています。
まず、表面のしわしわと毛の多さです。しわしわの葉といえば野菜のハクサイが思い浮かびますが、それ以上のしわしわぶりです。
おもしろいのが、このしわしわと毛は芽生えのときから変わらないのです。透けるような黄緑色の葉が白い毛にくるまれて地面に顔を出すのです。
「こんな柔らかそうな幼葉でよく土を押しのけられるな」と思いますが、サクラソウは湿地に生えるといわれているので、土も柔らかいのかもしれません。実際に咲いていた場所も、黒く湿った柔らかい土のところでした。
それにしてもサクラソウは、なぜこんなにしわしわで毛が多い葉なのでしょう?葉に泥汚れがつきにくいからでしょうか?実際のところはサクラソウ自身に聞いてみないと分かりません。
ただ、花の真ん中の口は、そのことをしゃべりたそうに見えますが…。
バラ咲きのジュリアンと普通のジュリアン
それはそうと、園芸店に行くとサクラソウがいっぱい置いてあります。ただし、その多くは洋物で、プリムラの名称で売られています。
プリムラ・マラコイデス、プリムラ・オブコニカ、プリムラ・ポリアンサ、プリムラ・ジュリアンなど、様々な品種が多く取りそろえられていて華やかな光景が見られます。最近はジュリアンが人気だとかで、バラ咲きなんてものもあり、私も試しに買ってみました。
ただ、気になることが一つだけあります。
こういうところではサクラソウというとプリムラを指し、日本のサクラソウはわざわざニホンサクラソウと呼ぶことがあることです。サクラソウはサクラソウが正式名称で、ニホンサクラソウではありません。本来の名であるサクラソウと呼ばれないのは少しかわいそうだと思います。洋物はプリムラで統一し、日本のものをサクラソウと呼ぶとすっきりするのですが…。
なお、ブリムラには中世のラテン語で「最初の」という意味があり、早春に真っ先に咲く花だからだそうです。2月ごろに咲く種類もあるらしく、同じ仲間の花でも名前のつけ方が異なるのは、お国柄を表していて興味深い物がありますね。
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