私が見つけたライフワーク(2)

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第20回
大正ロマンのマツヨイグサ

マツヨイグサと一口に言っても、実はマツヨイグサにはよく似た仲間があります。
オオマツヨイグサ、ツキミソウ、メマツヨイグサ、コマツヨイグサなどで、当時はマツヨイグサのほかに、オオマツヨイグサとツキミソウが既に日本に渡来していました。
だとしたら、「宵待草」はどの花を指すのかが気になるのですが、夢二が描いた花は大柄なので、オオマツヨイグサだとする意見があります。

ただ、夢二が実際に見ていた花はマツヨイグサらしいのです。
日記に「日が照つて、月見草の花が赤くしほれてゐる」とあり、しぼんだ花が赤くなるのはマツヨイグサだけだからです。
オオマツヨイグサについては、夢二が実際に見ていたかどうかは分かりません。

しぼんだマツヨイグサ
しぼんだマツヨイグサ
しぼんだメマツヨイグサ
しぼんだメマツヨイグサ

マツヨイグサは花がしぼむと赤くなり、オオマツヨイグサとメマツヨイグサは、しぼんでも赤くならず黄色いまま、というのが大きな違いの一つです。

マツヨイグサは「待つ宵」というように、宵を待って咲きます。
夜咲く花は普通良いにおいがして、マツヨイグサも香りますが、甘い不思議な匂いなので人により好みは分かれるようです。

マツヨイグサは夜咲くだけでも少し変わっていますが、咲き方はもっと変わっています。
普通の花は非常にゆっくりと少しずつ咲くので微速度撮影でもしないと開く様子は分かりませんが、このマツヨイグサは一瞬で咲くのです。一瞬とは少し大げさかもしれませんが、6~7割は本当に一瞬で開くのです。
でも、見ていてもなかなかその瞬間は見られません。
そのうちにほかの花がいつの間にか咲いており、そちらに気を取られているうちに目の前のマツヨイグサが咲いてしまうという具合によくなるのですが、じっと我慢して見ていればその瞬間が見られます。

咲く直前のマツヨイグサ、この後一気に開きます咲く直前のマツヨイグサ、
この後一気に開きます

大正ロマンを代表する竹久夢二が愛したマツヨイグサは、それにふさわしい優雅な姿をしていますが、思いのほか躍動的な咲き方をする花でした。
一見の価値があるので、夕方にマツヨイグサのツボミを見かけたら、しばし立ち止まって咲く瞬間を楽しんでください。きっとビックリすると思います。

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