第21回
見られそうでなかなか見られなかった里の花、オドリコソウ
2013.06.25 [西原 升麻]
和漢三才図会に載っているオドリコソウ、
花の付き方が変なのがユーモラスです
ただし、ここでは躍草(をどりぐさ)となっていますが、少し後の「物類称呼」(安永4年・1775年)や幕末の「これこれぐさ」(嘉永6年・1853年)では「をどりこさう」の名前が見られます。昔の人の命名センスの良さには感心しますね。
白のオドリコソウ
紅色のオドリコソウ
なお、日本のオドリコソウには淡紅色と白色の二種類のものが存在します。
普通、地域によって白だったり、淡紅だったりするようですが、私が見たのは淡紅色と白色とが併存していました。一箇所で両方見られてラッキーだったのですが、この先交配が進んで中間色が増えてしまわないか、ちょっと心配です。
そういえば、オドリコソウの「踊り子」とは、どんな踊りを指しているのでしょうか?
「人、笠を着て踊るに似たる」というので、笠をかぶって踊るイメージのようです。私は踊り子といえば「伊豆の踊子」を連想してしまうのですが、この作品には太鼓は出て来ても笠は登場しません。
実際にどんな踊りを思い浮かべたかは分かりませんが、辞書で「踊り子」を引くと、「特に盆踊りをする少女」という説明があります。そういえば、盆踊りやそれから派生した踊りでは、よく笠をかぶっています。「踊りに笠」は昔の人にとって一般的なイメージだったのかもしれません。
私が初めてオドリコソウを見たときは感動し、あの図鑑の著者に感銘を与えた女子大生の言葉を思い出していました。
オドリコソウのほかにも、まだ見ぬ花は数多く残っているので、多くの感動を得られるチャンスがたくさんあるだろうと期待しています。
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