第2回
こんなに小さくてもランの仲間です「ネジバナ」
2011.11.22 [西原 升麻]
「ネジバナ」は、比較的よく知られた山野草です。名前は知らなくても、ご覧になったことはあるでしょう。ゴルフ場や公園の芝生などによく生えているからです。見れば多くの方が、「ああ、あれか!」と分かるくらい、どこででも見られる花です。
写真だと分かりづらいかもしれませんが、背丈は20cmくらい。茎が1本す-っと伸びており、その中程から上に向かって小さな花をびっしりと付けます。
花は小さくかわいいのですが、見かけによらず根性があり、天下に名をはせる群馬の猛暑にも平然と耐えています。
[写真1]名前の通りねじれて咲いています
そんなどこででも見られる小さな花ですが、これでも立派なランの仲間です。
ランといえば、花屋さんで高級品として扱われる代表的な存在であり、その多くは外国原産です。主に暖かい地方に自生しているものが改良され、鉢植えや切り花としてギフトなどによく利用されています。
本当は日本にも野生のランは何種類も自生しているのですが、残念なことに乱獲され、今では数が少なくなっています。特に、花が大きく派手な「アツモリソウ」や「クマガイソウ」などのランは、絶滅危惧種になっているものも多く、なかなか自然の姿を見ることはできません。
そんな中、野山や公園などで気軽に見られるネジバナ。急に貴重な花に思えてきませんか?しかもよく見ると、小さな花がらせん状にねじれて巻きついているのです。少しねじれたくらいのランならありますが、ここまで完全にねじれているランは他に無いといわれています。
[写真2]写真1との違いはねじれ方と色です
そして、写真の1と2をよく見比べてください、違いが分かるでしょうか?そうです。実はねじれ方が逆になっているのです。写真1は左巻き、写真2は右巻きです。
アサガオのツルのように、普通は右巻きなら右巻きだけと、どちらかに決まっているのですが、ネジバナはどういう訳か左巻きもあれば右巻きもあり、さらにほとんどねじれていないものもあるとか…。不思議でしょ?
ネジバナは、この花がねじれて咲くことから付けられた名前ですが、昔は「モジズリ」と呼ばれていました。とはいえ、このモジズリも元々「もじる」から来ていて、もじるとは「ねじる」をあらわす言葉なのだそうです。昔から花のねじれが目を引いていたのですね。私としては、名前はモジズリのままで良かったのでは?と思ったりもします。
コメント