第14回
クズを救えば日本も救われる?
2015.01.20 [西原 升麻]
丈夫だけなら良かったのですがこれに輪を掛けた繁殖力の凄さが嫌われ者の最大要因です。道端や空き地を埋め尽くし、時には樹木全体を覆い尽くしたりします。
でも、この繁殖力に目を付けた国がありました。1930年代のアメリカです。河川流域の緑化対策・土砂流出防止として大量に種子が導入されたと言います。しかし、最初こそうまく行ったものの、やがてモンスター的繁殖力で手が付けられなくなり、あちこちにはびこりアメリカでも完全に悪者となってしまいました。
そのせいか、英語名もKudzuと日本の読みそのままです。Kudzuでネット検索すると海外のクズ事情が分かります。
葛ゴジラだ!
今では世界の侵略的外来種ワースト100までに上り詰めてしまいましたが、これは人間の考えが甘かったことを反省すべきなのだと思います。
クズも他の植物と同様に花が咲きます。ただ、葉が大きく数も多いので花は葉の陰に隠され、目立たず損をしています。もし、クズの葉がもう少し小さかったら、世界が変わっていたか、どうかは分かりませんが、悪者イメージがすこしは薄れていたでしょう。
葉に隠れがちのクズの花
クズの花は、よく見るとけっこう美しいのです。ツボミの外側は紫、開いた花びらの外側は薄紫から薄ピンク。花の中は真ん中にショウブのような黄色の模様、回りは銀朱色のような赤です。どこでも見られるので、見掛けたら近寄って花をじっくり見てください。意外な美しさに驚くと思います。そして、ついでに香りも楽しんでください。いつでも匂うとは限りませんが、甘い果物ような、それでいて上品な香りがします。クズが秋の七草に入っているのも頷けます。
洋風に言えばワインカラーの美しいクズの花
花は美しく香りも良く、役に立って歴史もあるのに嫌われ者の雑草とはもったいない話しです。うまく活用出来れば、雑草対策、資源問題、クズの復権と三方丸くおさまります。そして困っているアメリカでも喜ばれると思うので、何かうまい活用方法はないものでしょうか?
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