らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第15回
季節の分かれ目に咲くセツブンソウ

四季がある日本では、春の花、夏の花というように季節に固有な花が数多くあり、また季節を跨いで咲く花や長期間咲くものもあって、多様な花の咲き方があるのも日本の山野草の特徴です。
ただ、季節の花は数多くあっても春草や夏草など季節そのものを冠する花はありません。あってもハルリンドウ、ナツズイセン、アキノキリンソウなど「その季節に咲く…」という意味の春夏秋です。

クズの外観はこんな感じですが、他の雑草と争っています
セツブンソウはこんな感じの清楚で可憐な花です

そんな中で、季節の分かれ目の名そのものを冠する花があります。ずばりセツブンソウ=節分草です。節分とは立春の前日を指しますが、元々は四季それぞれに節分があったと言います。立春の他に立夏、立秋、立冬、それぞれの前日で、年に4回節分があったわけです。
ただ、立春以外の節分頃は花が多すぎてどれを節分の花にすれば良いかは簡単ではなかったでしょう。そして、他の3つの節分は目立った行事もなく、次第に忘れられていったようです。

豆まきの豆もいろいろ種類が増え…

恵方巻き(まるかぶり寿司)も種類が増えました


立春前日の節分は今は豆まきと、近頃では恵方巻きを食べる日のようになっていますが、昔は邪気払いや農耕の吉凶占いの生活に密着した行事だったと言います。より古くは追儺と呼ばれる宮廷の行事で、節分の日ではなく大晦日に行われていたようです。伝統のある行事でしたが、今では近所から「鬼は外」のかけ声も聞こえなくなりました。

早春の花にはフクジュソウ、カタクリ、アズマイチゲ、ニリンソウなどがあります
早春の花にはフクジュソウ、カタクリ、アズマイチゲ、ニリンソウなどがあります

少し話しがそれました。早春の草花としては、何と言ってもフクジュソウが有名で、他にカタクリやアズマイチゲ、ニリンソウなどもありますが、セツブンソウは意外に知られていません。最近は季節の話題として報じられることも増えましたが、1981年出版の日本植物記(本田正次著)には「その名前さえ知らない人が多い」とあり、少し前まではマイナーな存在だったようです。




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