らくらくわくわく 山野草見て歩き

バックナンバー

第15回
季節の分かれ目に咲くセツブンソウ

セツブンソウとフクジュソウの大きさイメージの違いセツブンソウとフクジュソウの大きさイメージの違い

このセツブンソウ、見た時にいくつか気づく点があります。一つは思っていたより花が小さいことです。写真で見ていた時はフクジュソウくらいあるように思いましたが、実際に見た目では半分くらいに見えました。同じ比率にして二つを並べてみると違いが分かると思います。


セツブンソウの青いオシベセツブンソウの青いオシベ

もう一つは、一目見て分かる青いオシベです。花のアクセントになっていますが、オシベやメシベが青いのは日本ではあまり多くないのではないかと思います。
よく探せば花蕊(オシベとメシベ)が青いのは、ゲンノショウコ、オオイヌノフグリ、ツルソバなどそれなりにはあります。


ゲンノショウコの青いオシベゲンノショウコの青いオシベ

ただ、花がもっと小いさかったり色が不鮮明であったりして肉眼で青い花蕊をはっきりと確認するのは難しいのが実情です。
その場でこのくらい鮮やかに明確な青が見えるのはセツブンソウくらいかもしれません。他にショウジョウバカマやカタクリも青っぽいのですが、そちらの色は少し暗い紫という感じです。


ショウジョウバカマの少し暗い青のオシベ

オオイヌノフグリはメシベが青です



先端が丸い黄色、下が淡い紫で筒状の姿はとても不思議な花びらです
先端が丸い黄色、下が淡い紫で筒状の姿はとても不思議な花びらです


そしてあと一つは、花びらに見える白い部分は実は萼で本当の花びらは黄色いオシベのように見えるところだと言うことです。キクの筒状花のようですが先端に数個、黄色で球状のものがあるところが違います。この黄色いところには蜜がたまっているのだそうです。
とても面白い花びらですが、もしかしたら、ここが黄色いのでオシベは青くしたのでしょうか? 不思議なことがいっぱいのセツブンソウです。

そして、セツブンソウは日本の固有植物だと言います。固有とは日本でしか見られないという意味ですから、貴重な花の一つですね。関東以西に点在、とあるので、どこでも見られるわけではないのが少々残念ですが、寒さの中にも明るい白が陽差しの力強さを感じさせてくれる花なので、自生のものに出合うチャンスがあれば是非会ってみてください。冬の中に春を感じられると思います。

コメント