第19回
ササバギンランとキンランは花の中が不思議な形だった
2015.06.22 [西原 升麻]
地球に現存する植物は20万種以上あるとも言う中で、最も進化した植物はキクとランの仲間だと言われます。ただ、専門家に言わせると「最も進化した」という表現は曖昧で、今現存しているものは全てが最も進化して来たと言った方が正確なのだそうです。そして進化ではなく、最も種類が多いと言うのなら適切だとも言います。確かにキクの仲間は2万種、ランの仲間も2万種とも2万5千種とも言われ、これら2つで植物全体の1/4近くを占めるわけですから、大繁栄と言ってもいいのでしょう。
ササバギンランの咲いている様子
ただ、日本ではランの美しさが災いしてか乱獲に遭い、環境変化も相まって激減しているので決して繁栄している状態とは言えません。以前に紹介したギンランも昔はその辺の郊外でもよく見られたと言いますが、最近は場所が限定されるし、仲間のササバギンランも減少していると言います。
ランとユリの細長い葉
ランはユリなどと同じ単子葉植物の仲間で、基本的に細長い葉という共通の特徴(例外はありますが)を持っています。なので、葉を見ればランでないものはすぐ分かります。ただ、葉だけではユリなどもよく似ていてすぐには分かりません。やはりランと分かるのはその花でしょう。
あまり開かないギンランの花
少しは開くササバギンランの花
ギンランやササバギンランのように白く優雅な花ならばランだと分かります…と言うのは乱暴かもしれませんが、実際に咲いているものに出合えば、その清楚な白い花に思わず足を止めてしまうでしょう。
ランと聞いて浮かぶのは洋ランならばカトレヤ、コチョウラン、日本なら身近なシランなどの艶やかな花の姿ですが、ギンランの場合は実におしとやかです。それはこの先開いたならどうなるのだろうと思っていると、その半開状態の姿で終わってしまうからです。なんと奥ゆかしいこと…と言いたいところですが、花にはそれなりの理由があるようです。
アサガオは開くけど早めに閉じます
ギンランは虫に頼らなくても自家受粉出来るという能力があるようです。それならば無理して全部開かなくてもよいのは分かりますね。そう言えば、アサガオも自家受粉出来るので朝咲いてすぐ閉じても構わないのだそうです。花を無理して咲かせなくてもよい工夫をしている植物は意外に多くあるのかもしれません。
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