第24回
カワラナデシコは1000年の時を越えて…
2015.11.25 [西原 升麻]
今、会話の中でナデシコと言えば女子サッカーのこと?と言われるかもしれません。
花屋さんで見かけるナデシコ
まあ、それほど活躍して国民の記憶に刻まれているわけですが、ナデシコはご存じのように花の名前です。でもナデシコと言うと花屋さんに並んでいるこんな花だと思っている方が多いのではないでしょうか?
清少納言が見た唐ナデシコはこんな花だった?
これもナデシコですが、実は日本のものではありません。西洋や中国(唐ナデシコ系)のものを交配させて作られた異国を原産とする外来品種です。日本のナデシコは別にあり、その昔から知られていて、あの有名な古典文学でも「草の花は なてしこ からのはさらなり やまとのもいとめてたし」と表現されています。そう、枕草子の中で清少納言が褒め讃えた花で秋の七草にも入っています。
これが山に咲く日本のナデシコです
ナデシコはその他に万葉集や古今和歌集、そして清少納言のライバル、紫式部も源氏物語の中で取り上げています。しかも何度も出て来ますが、これはナデシコを夕顔の娘、玉鬘として表現しているからと言われています。
ただこのナデシコ、今はカワラナデシコと呼ばれています。植物図鑑などでは「山野に咲く…」と説明されているので今は山の方が多いようですが、昔や地域によっては河原でもよく見られたのかもしれません。
カワラナデシコの花
カワラナデシコは清少納言や紫式部が題材にするのも当然と思えるくらい風流な形と優雅な色をしています。特に花びらの先が鳥の羽のように細かく切れ込んだ状態になっているのは珍しく、あまり見かけません。そして花の色、見事なまでのピンクです。日本には桃色という色表現がありますが、濃いピンクと言った方が似合います。
それもそのはず? 実はピンクの語源は「ナデシコ」だったのです。昔、西洋でPinkと言うナデシコの品種が流行り、色がきれいなので、その花色をPinkと言うようになったと言われます。
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