第25回
リンドウの紫は秋の色
2015.12.21 [西原 升麻]
秋と言えば風景なら紅葉ですが、花ならリンドウを挙げたいと思います。キクの方が一般的ですが、キクは山野草としては存在せず、園芸種としてのキクだけがあります。野に咲くいわゆるノギクは可憐ですが、秋の山で目立つのは何と言ってもリンドウです。
リンドウの見どころは何と言ってもその花色でしょう。単なる紫ではなく深く濃いブルーを秘めたような紫です。これが最大の特徴だと思います。
リンドウの色はこんなイメージ
が…、それは少し違っていた、と言うか思い込みがあったと言った方がよいのかもしれません。実はこの花、リンドウではあるのですが、正確にはエゾリンドウと言います。リンドウは切り花でよく見かけるので、花全体が紫色ということが頭に沁みていたのだと思います。
エゾリンドウ
花屋さんの切り花リンドウ
実は、切り花のリンドウはこのエゾリンドウを元に改良した花なのです。雰囲気も色もよく似ています。リンドウの方は…と言うと、こちらも確かに色は鮮やかです。ただ、白い部分もあります。場所や時期、個体によっても違うのでしょうが濃紫というよりは少し明るめの紫です。
普通のリンドウの花は背丈が少し低めです
秋に咲く紫のリンドウには幾つか種類があります。よく見かけるのは、リンドウ、エゾリンドウ、オヤマリンドウでそれぞれ特徴があります。この中でリンドウは一番背が小さく、花は明るく、ある程度開きます。エゾリンドウとオヤマリンドウは背が高く色は濃紫で、花はそれほど開きません。よく似ていますが、オヤマリンドウは頭頂部にだけ花があるところが違っていると言います。ただ、エゾリンドウも条件が悪いと上だけにしか花を付けないこともあるそうなので、区別はなかなか難しそうです。
エゾリンドウ
オヤマリンドウらしいですが…
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