第25回
リンドウの紫は秋の色
2015.12.21 [西原 升麻]
リンドウは花の時期が目立つせいか、咲いていない時はほとんど目に留まることはないと思います。夏のツボミのときは一見リンドウとは思えない姿と色で、すぐにはリンドウとわからないくらいです。でも、これはこれで咲いていなくても凜としていて、楽しめる姿だと言えます。
結構見応えのあるツボミの姿
ところでリンドウは龍胆(竜胆)と書くのですが、どう考えても「りんどう」とは読めません。でも日本の呼び名を当てたわけではなく、漢音だと言います。古くは「りうたむ」や「りうたん」と表現されていたのが、後に「りんたう」と書くようになったとか。昔はかなに濁点をふらない習慣だったので、この時点で「りんどう」と発音していた可能性もあるようです。
そもそも当時は中国も日本も発音は現在とは大きく違っていたと言います。龍の読みは普通「りゅう」とか「りょう」ですが、方言や朝鮮などでは「りょん」と言う場合も」あるそうなので、表記の違いはあっても「りんどう」に似たような発音だったかもしれませんね。
イヌホウズキの葉
リンドウの葉
龍胆は読みもそうですが、何故そう書くのかも正確には分かっていないようです。いくつか説がありますが、その一つに葉が龍葵に似て苦いというものがあります。根の方がもっと苦いようですが、龍葵とはイヌホウズキだといいます。
しかし、実際に比べてみるとリンドウの葉にはあまり似ていないような感じですね。う~ん、龍胆は読みとともに意味も謎が深いようです。龍胆談義はまだまだ尽きませんが、夜更かしにならないよう今回はこの辺にしておきましょう。
リンドウは自然のものより花屋さんの切り花で見る方が多いけれど、青空の下でそれ以上に濃い青紫の色を見たならば秋の醍醐味を感じること請け合いです。
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