らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第27回
渡良瀬遊水地の花-1 チョウジソウ

丁子=クローブは日本には自生していない南国の木ですが、我が国では昔から香料や漢方薬として珍重され、正倉院にも「丁香」と言う名で今でも保存されているそうです。そして、その丁香は東大寺大仏の開眼式で用いられたらしいとも言われます。その香りですが、一言で言うと甘くはなくスパイシーな香りです。カレーの香料として使われるのも納得です。昔は神秘的な香りとして利用されたのかもしれませんね。


クローブはツボミを乾燥させて使います

今の釘でも少しは丁に似ています


このクローブ(Clove)は英語ですがフランス語のClou=釘が語源と言われます。東洋でも西洋でも元が釘というのはそれだけ形に特徴があるからでしょう。

余談ですが、直角の三叉路を「ていじろ」と言います。子供の頃は絶対T字路だと思っていましたが、正式には丁字路でした。ただ、最近はT字路でも良いとする考えもあるので完全に間違いだったとは言えないようです。


キョウチクトウの葉キョウチクトウの葉

ところで、チョウジソウはキョウチクトウ科に属しています。この仲間は日本には少ないと言われ、特に山野草としては他に1種ある程度のようです。

木ならばキョウチクトウそのものがありますが、これも元は日本のものではなく、江戸の時代にやって来たと言います。


もっとも、最新の分類法では従来のガガイモ科がキョウチクトウの仲間に入ったようですが、キョウチクトウにはあまり似ていません。そこへ行くとチョウジソウの葉はキョウチクトウに似ているので、確かに仲間だと言えます。


キョウチクトウに似ているチョウジソウの葉

仲間に入ったけどあまり似てないガガイモの葉


チョウジソウは科の仲間が少ないだけではなく、数も減っていて準絶滅危惧種に指定されています。川岸や湿地のそばという住みやすい環境が減っているのでしょう。環境問題は巡り巡って我々に返って来ると言いますから、チョウジソウの花が増えるくらいになれば人間にとっても住みやすい環境になるでしょう。そうなるといいですね。

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