第28回
渡良瀬遊水地の花-2 小さくても存在価値のあるキタミソウとエキサイゼリ
2016.03.29 [西原 升麻]
渡良瀬遊水地は湿地と言っても人為的なものです。しかし、環境保全が中心の保護によって動植物は自然の状態が保たれています。そして湿地の他に大小の池や川、水位調整水路、堤防や林、広場など多様な環境の集合体です。
渡良瀬遊水地は湿地の他に大きな調整池や小さい池、林や池など多様な環境が混在
ここは、自然が豊富だけれど多くは人間の介在したもの、つまり自然でない自然が溢れていると言える少し奇妙な空間になっています。
オオイヌのフグリも小さい花ですが
それより一段と小さいキタミソウの花
でもそういう恩恵を受けている植物があります。その一つがキタミソウと呼ばれる珍しい草です。
花は非常に小さく、立っていては花の様子は分かりません。それもそのはず、花の大きさは2mm程度。小さいオオイヌノフグリの花でも8mm前後はあるので遙かに小さく、近寄っても花の詳細は分からないくらいです。
最大近寄って撮り、拡大しないと花の様子は分かりません
キタミの名は最初に見つかった北海道北見市からだと言います。1901年の事なので、はるか昔と言うほどではありません。その後埼玉や熊本、群馬でも確認され、渡良瀬遊水地では最近2011年に確認されました。
この花、本来は寒帯の植物で氷河期時代の生き残りか?などと言われ、絶滅危惧種にもなっています。それが北海道ならまだしも関東や九州で生育していて、しかも点在とは…。ちょっとしたミステリーですが、謎解きのヒントはありそうです。
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