第32回
ユウスゲには夕方が似合う
2016.09.11 [西原 升麻]
生物には必ず名前があります。植物の名前は種類豊富で動物の名前よりバラエティーに富んで個性的です。美しい名前はもちろん、面白いもの、変わったもの、可哀想なものや意味不明のものまであったりします。ユウスゲと言う名前は響きのよい情緒的な名前です。ユウスゲ? ニッコウキスゲなら聞くけど…と、あまり聞かない名前かもしれません。
ニッコウキスゲは夏の代表花、まさに黄色という色で夏山を訪れたハイカーの目を楽しませてくれます。ニッコウキスゲは基本的に1日花ですが、次々と昼間に咲くので時期と場所が合えば見るのはそれほど難しくはないでしょう。しかし、ユウスゲの場合は案外大変かも…。 この花、山地、海岸などに夕方から咲く夜型の花だからです。場合によっては翌日まで咲いていることもありますが、普通はしぼむか終わりかけになってしまうようです。夕方に山や海岸で見るのは、近隣に住むか近くに宿泊施設がないと難しいかもしれません。
ニッコウキスゲはウコン色
ユウスゲはレモンイエロー
ユウスゲもニッコウキスゲも標準の他に別名があります。ユウスゲはキスゲ、ニッコウキスゲはゼンテイカ。キスゲとは元々ユウスゲを指したようですが、ゼンテイカとは何でしょう?
禅庭花と書かれるのですが、詳細は明らかになっていません。自生する戦場ヶ原を中禅寺の庭に見立てたとする説明をよく見かけますが、「植物和名語源散歩」の中で著者が私の想像では…と断っている表現なので明確な根拠は無いようです。
- 2017.05.15
- 2017.04.11
- 2017.03.18
- 2017.02.11
- 2017.01.14
コメント