らくらくわくわく 山野草見て歩き

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第2回
ザゼンソウは何回見てもおもしろい

雪の中から顔を出すザゼンソウ雪の中から顔を出すザゼンソウ

ザゼンソウの風変わりな様子は以前に紹介(私が見つけたライフワーク(2)第17回-「山で修行しているような山野草」を参照)しましたが、他にも変わったところや面白いことがあります。早春の花にはそういうタイプが多いのですが、ザゼンソウもまず花だけが、多くは雪の中から顔を出して咲きます。


いろいろな色模様のザゼンソウいろいろな色模様のザゼンソウ

花(実際は仏炎苞と呼ばれる外皮ですが)は普通、赤褐色だと言いますが、よく見ると意外なほどバラエティーに富んでいます。ほとんど赤いもの、赤に黄色が少しあるもの、赤が少なく青っぽいもの、そしてほとんど青いものもあります。
完全に青いものをアオザゼンソウと呼ぶようですが、私が見たのは「ほぼアオザゼンソウ」のものです。完全なアオザゼンソウではないのかもしれません。でも、あとわずかなのですから、そのうちに出会えるのでは…と期待しています。


そう言えば、赤と黄色の混ざったものを見ていて思ったのですが、ザゼンソウの模様はリンゴに似ています。左右反転した合成写真にしてみると桃の様にも見えます。もう少し丸かったらリンゴソウまたはモモタロウなんていう別名もついたのかも…、と思います。

この部分だけを見るとリンゴに見えて
この部分だけを見るとリンゴに見えて
合成写真で丸くすると桃のようにも…
合成写真で丸くすると桃のようにも…

ところで、アオザゼンソウと言いますが、実際の色は青ではなく緑です。少しおかしいような気もしますが、これと同じ例は他にもあり、例えば緑色の信号でも青信号と言います。
これは間違っている、というわけではなく色と言葉の歴史に起因していると言われています。古代の日本で色を表す言葉は、アカ、アオ、シロ、クロの4つだけだったそうです。古い色表現は言葉にも溶け込んでいて、赤い、青い、白い、黒いと言えますが、新しい色表現は緑い、とか紫いとは言いません。そして、アオが指し示す色は青から緑を含む今より広範囲の色を表していたようです。今で言えば青っぽいというような表現に近いのでしょうか? 確かにアオっぽいザゼンソウなら緑色でもそれほど違和感はありませんね。

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