第3回
イカリソウとクモキリ
2014.02.13 [西原 升麻]
花を分類するのに図鑑のようにではなく、こんな分け方も出来ます。「何度見ても覚えられない花」と「一度見たら忘れられない花」です。イカリソウは、後者の方だと言えます。
この花を見ればその姿は強烈で、一目で特徴が記憶にしっかり組み込まれるでしょう。イカリソウと耳で聞いても分からないかもしれませんが「錨草」の字を見れば、ああそうか! と納得し、忘れ得ぬ情報として心の片隅に残るようになるのです。
イカリソウの花
イカリソウの名前は花の様子が錨に似ているから…、なのですが考えて見ると錨そのものをよく見たことがありません。写真などで見ていてイメージとしての錨が何となく頭に残っていたのでしょう。イカリが錨だとはすぐ分かるのですが、ちょっと確認してみました。
今の錨の図
四爪錨の図
写真がないので図にしてみましたが、今の標準的な錨は先端が2本で、意外なほど平面的(前後に動くようですが)なんですね。まあ、これでも似てはいますが…。錨は鉄なので比較的最近つけられた名前だと思っていたのですが、すでに「物類称呼」(安永四年、1775年)に「いかりぐさ」と載っています。けっこう古くからあった名前なんですね。とすると、錨も今のものではなく、少なくとも江戸時代以前のものということになります。江戸時代の錨は?というと…、江戸時代の標準的な錨は四爪錨と言うのですね。これも写真が無いので図で紹介しますが、これならばイカリソウが錨だというのは納得できます。
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