第6回
ラショウモンカズラは藪の中
2014.05.19 [西原 升麻]
花への憧れ方はいろいろです。それは好きな花や貴重な花だったり、きれいな花やおもしろい花だったりということもあるでしょう。思い出の花や記念の花、まだ見ぬ花なんて場合もあるかもしれませんが、私はその花の名前に魅かれました。
ラショウモンカズラと言うこの花は筒型で横に伸び、左右は対称形ですが上下は非対称形で上と下に分かれた様子から唇形の花と言われます。色は紫系で、一部白地に紫の模様があったりします。
ラショウモンカズラはこんな感じの花です
花は少し大柄、特にシソ科としては最大級の大きさだと言います。シソ科にはその辺のホトケノザから野山のイブキジャコウソウ、ナギナタコウジュ、その他数多くありますが、いずれも小さい花です。シソ科の大きいもので頭に浮かぶのはオドリコソウくらいですが、背丈は別にして一つ一つの花は同じくらいかもしれません。
イブキジャコウソウ(左)やナギナタコウジュ(右)などシソ科の花は小さい花が多い
見た目にも秀麗な花ですが、ラショウモンという響きが平安という時代の香りを放ち、匂いのように頭に染みこんでしまったようです。考えて見れば羅生門という名前は歴史上における門の名前の他に小説や映画のタイトルなどにも登場するので、知らぬ間に印象深く心に残っていたのかもしれません。
花の名としてのラショウモンは、歴史上の羅生門(羅城門)です。渡辺綱が羅生門に住みついていた鬼女と戦って、切り落とした腕に見立てたと言われています。由来を聞くと平安の香りも吹き飛んでしまいそうですが、花を実際に見れば妙に納得しながらもそんなことは忘れて花に見入ってしまいます。
花が鬼女の腕に見えるでしょうか?
ツボミの方が腕に見えるような気も…
- 2017.05.15
- 2017.04.11
- 2017.03.18
- 2017.02.11
- 2017.01.14
コメント