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第8回
ハンゲショウはややこしい

ハンゲショウはドクダミの仲間です。あまり似ているようには見えませんが、花が地味なところは似ています。ドクダミの白い花に見えるものも花ではなく、真ん中の目立たない黄色の部分が花です。

ドクダミとハンゲショウはどちらもドクダミ科で親戚です


ドクダミの仲間は古草本類と呼ばれ、古い世代の植物だと言います。花は後の時代の植物のように発達はしていませんが、ハンゲショウの少し中途半端な白い葉と比べると、花のように見えるドクダミの方が少しは進化しているように思えます。ハンゲショウは進化の袋小路に入ってしまい、ドクダミになり損ねたのでしょうか?

ところで、ハンゲショウは半夏生だと言いましたが、実は他にも半夏という名前の植物があります。カラスビシャクの別名です。なりは小さいのですが、マムシグサなどと親戚関係にあり、結構不気味な姿をしています。その中国名を半夏と言い、球茎が漢方に利用されていて、漢方の名前も半夏を採用しています。

カラスビシャクの漢名は半夏、小さくても迫力があります
カラスビシャクの漢名は半夏、小さくても迫力があります

実は、半夏生という季節の言葉は、この半夏が咲く頃ということで出来たと言われているのです。日本でカラスビシャクを古くは、保曽久羙(ホソクビ)と言っていたようですが、室町時代になって漢語の半夏が定着し、江戸でカラスビシャクという言い方が広まったと言います。一方、今のハンゲショウは昔カタシログサなどと呼ばれていたのですが、半夏と言う名前が空きになっていたのか、これを受け継いで「半夏生の頃に咲く花」になったと言われています。複雑でややこしいので、落ち着いて整理しないとこんがらかってしまいそうです。

姿形はまるで違うし親戚でもないハンゲショウとカラスビシャク、半夏と言う言葉で繋がっていました。我々人間でも初対面の人が話してみたら実は関係が…ということはよくあるものですが、植物の間でも意外な関係があるのですね。

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