第9回
雄山火口が花の名前とは思えません
2014.08.20 [西原 升麻]
そう言えばまだ名前を紹介していませんでした。名前は「雄山火口」、これが花の名前に見えますか?どう見ても花の名前ではなく、まるで火山の専門用語みたいです。ユウザンカコウとでも読みたくなりますが、本当は「オヤマボクチ」と読みます。オヤマは何となく読めますが、火口をボクチとはなかなか読めません。この火口は単独では、「ほくち」と言い、その昔、火打ち石で火をおこすときに火花を受けて発火させる材料のことをそう呼んだそうです。
火山に関係していると言われても納得してしまいそうです
最初そのことを知らずにこの名前の山と火口の字からてっきり火山に関係しているのだ、と思ってしまいました。でも見て下さい、その花色と言い、花の形の荒々しさと言いどう見ても火山のイメージと思えるのも無理はありません。
大きい葉は利用価値が高そうです
ただこの名前、実際は花ではなく、葉から来ています。この葉はすごく大きく、この茸毛(じょうもう=葉の裏に生える繊維)を発火材料(ほくち)にするのだそうです。しかし、雄山はよく分かりません。山に生えるからと言うのは分かりますが、雄山にしなくても…、と思います。
これは、もともとヤマボクチ(キクバヤマボクチの別名)があったので、それと区別するために、より荒々しい姿から作った造語でしょうか? すくなくとも辞書に雄山という言葉はありません。ただ、実際の山には立山の主峰などいくつかあるようですが、関係は不明です。
葉の裏は真綿のフェルト状で発火材料になるのも分かります
オヤマボクチは食の材料にもなり、この葉の繊維をつなぎに使った蕎麦があると言います。長野や新潟ではこの蕎麦を食べさせるお店があるそうです。まだ食べたことはありませんが、オヤマボクチの花ように豪快な食感なのかそれとも火口(ほくち)のように繊細な食感なのか? などと考えていたら食べたくなってきました。そのうち行ければよいのですが…。
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