第10回
ヒガンバナは花が終わってからも頑張り続けます
2014.09.17 [西原 升麻]
ヒガンバナは日本人なら誰でも知っている花で、季節を感じます。ただこの花、古くは曼珠沙華と呼ばれ、また各地では多くの別名もありました。しかし、咲くのが見事に秋のお彼岸と一致して、お寺に多く咲いていたからかヒガンバナの名前に落ち着いたようです。
赤が強烈なヒガンバナ
花の色は強烈な赤で、花の形も特異的。花びらは細長く縮れていて、オシベはそれ以上に長い…つまり、紐(ひも)と線の花なのです。大きな一つの花のように見えますが、実際には茎の頂点から放射状に5~10の花があります。私が見たのは6本が多く、5本の花もありました。
これは6本が放射状に
こちらは5本です
花が派手で名前に行事名がつくので印象は強いのですが、彼岸が過ぎ花も枯れると忘れられます。私も花が終わると忘れ、長く地下生活が続いている…と思っていました。
でも、実際は花後も結構長い間、地上で生活していたのです。花は終われば散ると言うイメージがあります。山口百恵さんの歌「曼珠沙華」にも「はかなく花が散ったとき…」と歌われていますが、実はヒガンバナは散りません。花の終わりには、まず色が抜けて白っぽくなります。そして、糸のように細くなって枯れてきてもまだくっついています。最後の様子は確認していませんが、朽ちて倒れるか、風で飛んでしまうのかもしれません。
終わるときはまず白っぽくなります
枯れてもまだくっついています
その頃に葉が出てきます。つまり花が終わってから葉が出て来るのです。ですから、別名「葉見ず花見ず」とも言われ、花と葉で時期的に分業制を取っている面白い野草です。
そして、そのまま葉の状態で冬を越し、早春の花達が咲き始めると、誰も葉だけのヒガンバナには目もくれません。しかし、ヒガンバナはまだ辛抱強く、明るい陽の光を浴び続けるのです。
そして春も盛りの頃、役目を終えた葉は倒れ、やがて枯れて地上から消えて行きます。
このままで年を越します
春になると倒れ、枯れていきます
ヒガンバナの一生(一サイクル?)は8割以上、目立たない葉で過ごします。ヒガンバナは種が出来ず、仲間を増やすのは球根の分球だけ、と言うので、葉の期間を長くして養分をため込んでいるのでしょうか?
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