ライターHの“デジモノ”放談

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第22回
デジタル一眼&撮り鉄、同時にデビューして分かったこと

単なる旅行とは違う、撮影旅行の魅力

一般的に旅行というと、神社仏閣を参拝したり、温泉に入ったり、美味しいものを食べるということが目的になる。今回、初めて撮影をテーマにした旅行をしてみて、気づいたことがある。それは、普通の旅行では感じられない緊張感だ。

今回訪れた小湊鉄道やいすみ鉄道は、1時間に1本程度しか列車を運行していない。このため1つの撮影ポイントで、1、2回しか列車を撮影するチャンスがなかった。

このワンチャンスをものにするため、風景と列車を、どういった角度で撮影するのか。広角で狙うのか、望遠で狙うのか。想像力を働かせながら撮影ポイントを決めていった。場所が決まるまでは、かなりせわしく動き回る。ひとたび撮影ポイントが決まってしまえば、一服タイム。のんびりとした時間に包まれる。

あとはひたすら列車がくるのを待つだけ。ただし、今回の撮影旅行は、運行時間すら調べずに挑んだため、踏切の鳴る音や列車の汽笛が鳴らないか、耳だけはそばだてていた。そして遠くで踏切や汽笛の音が鳴ると、一気に緊迫モード。シャッターを押すタイミングに、全神経を注ぐことになる。時間にすると1分はなく、場所によっては十数秒の勝負である。

あっという間に走り去る列車。タイミングよくシャッターを押し、撮影は終了する。所要時間は1ポイントあたり、30分~1時間程度だった。撮影が終わると、知人と合流してお互いの写真を見せ合う。写真を撮る人の個性が見えてきて、これがなかなか興味深かった。満足いく写真は、ほんの数枚しか撮れなかったのだが、デジタル一眼レフの魅力、そして鉄道写真の魅力を味わうことのできる、すばらしい旅行となった。

一人で撮り鉄デビューというのはハードルが高いし、デジタル一眼レフカメラを持って旅行するのは体力的にも大変だ。だが、初めてのことにチャレンジすることは、いくつになっても楽しい。やってみたい! と思った方は、童心に返って1日だけでも鉄道を追っかけてみてはいかがだろうか。

田んぼの真ん中、幅2メートルほどの農道にあるいすみ鉄道の踏切で撮影。広角レンズで、踏切ギリギリから狙った。1ページ目に掲載したいすみ鉄道の写真は、この踏切から逆方向に向かって撮影している

旅行したのは平日だったが、撮影スポットには我々同様、鉄道写真を撮りに来た人の姿を見かけた。上の写真は、小湊鉄道の飯給駅。どういった構図で狙っているのかと思い、様子を見に行くと、ひっそりとたたずむ駅の姿があった

列車の待ち時間に撮影した1枚。近所に住んでいるお婆ちゃんが、線路沿いをのんびりと犬を連れて散歩していた

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