第17回
その16 “果実との交換(10)” –果実の育成法 (1)–
2012.01.24 [山田 英次]
では、昨年の今ごろ、日本経済の(近い将来の)復活を予測していたアナリストたちは無能だったのでしょうか?答えは否です。
昨年の国内外のネガティブな要因が、あまりにも大きなインパクトがあった為に、それを『想定外』と考えてしまいがちですが、そのような特別な出来事がなかったとしても、そもそも1年後のマーケットを予測することは、困難を極める作業であり、その結果を保証することなどできないことは、当の本人(アナリスト)たちが一番よく分かっているはずです。
結局のところ、1年前のコメントは、ただ、その時点で明確になっていた情報だけを基にした分析と、個々のアナリストたちの感性によるものだったといえるのかもしれません。もしかしたら、何かしらの(仕事などの)事情により、保証はできないと思いながら、コメントせざるを得なかったなどというアナリストもいるかもしれませんね。いずれにせよ、本音で語るならば、『1年後のマーケット予測は困難を極める』ということに、賛同するアナリストは少なくないはずです。
もしかしたら皆さんの周囲には、自信満々にマーケットの予測をする方がいらっしゃるかもしれません。じゃんけんで勝つか負けるかという二者択一の賭けをするのであれば、その予測が『当たる』可能性は50%です。それを楽しいゲームとしてやるのであれば、結構なことかもしれません。
ですが、自分の大切な資産を運用するのであれば、そのような『賭け』に乗ることはあまりお勧めできませんし、皆さんも、怖いことだと感じると思います。私たちがまず、知るべきことは、予測が当たったときだけ結果を吹聴して、資産運用の成功者を装っている人もいることです。そして皆さん自身においても、自分自身が感じている今後の相場観は、よくよく考えてみたら科学的な根拠がないことを認めることも大切なのです。
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