第19回
その18“果実との交換(12)”–果実の育成法(3)–
2012.03.21 [山田 英次]
振れ幅(リスク)を抑える意味
結局のところ、分散投資で良い結果を導き出そうとするなら、先ほどのようなグラフイメージとなる分散比率を採用し、その比率を維持する作業を継続的に行えばいいのですが、これがなかなかできないものなのです。
そもそも、適正な分散比率を入手できる機会があまりにも少ないからです。証券会社、銀行、郵便局などで勧められる金融商品の多くは、金融機関の事情で推奨されるものが多く、またセールスの場においては、「できるだけたくさん売りたい」と思っている担当者が多いのが実情です。(当たり前ですが、「できるだけ安定的にもうけたい」と考えている投資家とはあまり会話がかみ合いません。)
場当たり的に、適当な金額で、いくつかの金融商品を手に取ってしまっている方も多いのですが、その多くは、無駄な振れ幅(リスク)を伴っています。金融商品を手に取っているわけですから、ある一定の利回りは期待できますが、目標利回りからは上にも下にも大きくずれてしまう可能性がある状況になってしまっているのです。
これをグラフイメージで表すと、右側の矢印のようになります。
この矢印は、目標利回り(リターン)が5%、発生する振れ幅(リスク)10%の状態を表していますが、注目していただきたいのは、0%以上の「アタリ領域」と0%未満の「ハズレ領域」の面積です。
先ほどの左側の矢印は、0%未満の「ハズレ領域」がごくわずかであったのに対し、右側の矢印の「ハズレ領域」はかなりの面積を占めています。
「アタリ領域の方が大きい」ということは両者共通していますが、「ハズレをひいてしまう可能性」を考えた時、右の矢印は極めて不利な状況であることがご理解いただけると思います。
また、求めている安定的な目標利回り(5%)により早く近づくのは、振れ幅が小さい左側の矢印だということです。
これが、「リスクを抑える」という意味です。
次回は、リスクを抑える分散比率を採用する際の考え方について、少し掘り下げてお話します。
コメント