第21回
その20 “果実との交換(14)”-果実の管理-
2012.05.15 [山田 英次]
皆さん、こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの山田英次です。
前回のコラムでは、「最少リスクで最大リターンを狙う」状態を維持しながら時を待つのが「負けない資産運用」においてとても大切であるというお話を、具体的なグラフを用いてお伝えしました。
これを言い換えると、「同じリスクを背負うのであれば、できるだけ高い利回りを」、そして「同じ利回りを狙うのであれば、できるだけ低いリスクを」目指すこととなりますが、仮に理想的な分散比率、つまりポートフォリオを手に入れたとしても、その状態を維持することはとても難しいものです。
勝ち馬に乗ろうとせず、各カテゴリーの値動きに一喜一憂せず、手に入れた根拠のあるポートフォリオを維持するためには、確固たる精神力が求められるのです。
皆さんは、自分の精神力に自信がありますか?
比率維持をする理由
資産運用に実際チャレンジしたことがある方であればお分かりだと思いますが、自分にとって「小さな額ではない」お金を投じた場合、どうしても日々の値動きが気になるものです。
また、平時であれば多少の値動きは気にせず冷静さを保てるかたも少なくないのですが、リーマンショックや東日本大震災、昨年からの南欧諸国の財政危機など、次から次へと襲い掛かる経済の荒波にもまれていると、徐々に正常な判断能力を失ってしまう方が増えてきてしまうものです。
運用をスタートした時には、「どんなことがあっても比率維持を欠かさないようにしよう!」と、固く心に誓った人も、いつのまにか「臨機応変な」ハンドリングをしたくなってしまうのです。
この5年間、時間と労力を使って資産を増やそうと努力し頑張っていたのに、大きな損失を抱えることになってしまい、「やらなければよかった」と頭を抱えている人はたくさんいます。
ポートフォリオ(国際分散投資)理論は、単純で分かりやすい理論ではあるのですが、実行するのは困難を極める性質があるという意味で、厄介なものともいえるかもしれません。
それでは、どうすればこの理論を実行して、たわわに実る果実を手に取ることができるのでしょうか。
その答えは簡単です。
最初に心に誓った気持ちを失わないためには、「比率維持をするメリットを数字で理解しておけばよい」のです。
それでは早速ですが、揺れ続ける相場において比率維持をすることによって生まれるメリットを確認してみましょう。
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