第21回
その20 “果実との交換(14)”-果実の管理-
2012.05.15 [山田 英次]
得する人と損する人
21世紀に入ってからの相場は、過去にないほど短期間で(悪い意味での)ビッグイベントが発生するリズムになってしまっていますが、このような値動きの激しい相場環境においては、よりリバランスの重要性が大きくなります。つまり、上手にハンドリングすればよりメリットも大きくなるのですが、これを怠ると中長期的な上昇相場であったとしても、その波に乗れないばかりかダメージまで受けてしまいます。
「えっ、ダメージ?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、それを立証するために、下記2種の金融商品を保有する場合を考えてみたいと思います。
金融商品A : 『50%上昇&40%下落』を繰り返す
金融商品B : 『40%下落&50%上昇』を繰り返す
いずれも、長い目で見ればよい結果となりそうですよね。大きく揺れるのですが、A、Bどちらも下落よりも上昇時の比率のほうが大きいわけですから、期待できそうです。ですが、そうでもないのです。
皆さんには、今回のコラムで「勝つべき相場、勝てる相場で、なぜか負けていく人たちがいる」理由をしっかりとご確認いただきたいと思います。
まずは、リバランスをしなかった場合の悲惨な結果を見てみましょう。
金融商品AにしてもBにしても、リズムは違うにせよ2年単位では差し引き10%のプラス運用になっているはずなのですが、10年後の資産残高は約6割(合算で約118)になってしまっています。
これに対して、きちんとリバランスをした時の結果を見てみましょう。
上記は、毎年1年ごとにリバランスをした場合のグラフです。
例えば、1年後に金融商品AとBの合算で210まで増えた資産を105ずつに再分配(リバランス)して、また1年を待つ、といったリズムを繰り返した例です。
すると、まったく同じマーケット環境下で10年を過ごしたにもかかわらず、10年後の資産残高は合算で約326となっています。これは、リバランスをしなかった場合の3倍近い数値となります。
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