第1回
プロローグ “自立した投資家を目指して”
2011.04.12 [山田 英次]
資産運用の位置づけ
さて、まずは、『資産運用の位置づけ』について考えてみたいと思います。
もし、『あなたにとっての資産運用とは、何ですか?』という質問をされたとしたら、皆さんは、どのようなコメントをされるでしょうか?
もちろん、価値観は、千差万別ですから、上記の質問に対する『唯一の正解』は存在しませんが、このコラムでは、資産運用を『資産形成のサブエンジン』と位置づけたいと考えています。つまり、資産形成のメインエンジンは、別にあるという事になり、筆者は、それを、『就労による収入』と、考えています。ですので、自分の資産形成を加速させたいと考えたとき、最初にやるべきことは、就労による収入を増やすための自己投資ということです。
資産運用とは、自分の余剰資金を自己に投資するのではなく、他人に提供し、有効活用してもらう事です。その資金によって他人が生み出した『利益の一部』をキックバックしてもらう事を目的としているのです。これは、言い方を変えれば、自分は出すのはお金だけで、労力と時間は他人に提供してもらう形だと言えますので、本来、そのパフォーマンスは、自分の資金、時間、労力を使って生み出される利益よりも劣るはずです。
サブエンジンのパフォーマンス
残念に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この連載でお伝えする資産形成術は、『1年で資金を10、20倍にする事』や『短期間で数億の資産形成をする事』を目指しているものではありません。
メインエンジンである就労収入によって形成された余剰資金を守り、堅実に資産を増やしていく事を最優先する姿勢を基本スタンスとしている資産形成術です。一言で言うと『負けない事を最優先した資産形成術』となり、このパフォーマンスは、過去も、恐らくは未来も10%を超える事はありません。
当たり前ですが、皆さんが収益性(リターン)を求めれば求めるほど、足元をすくわれる可能性(リスク)が高まります。
この点についても、先程の資産運用の位置づけ同様、最初の段階で確認し、明確に意識する事が大切です。これをしておかないと、自分でも気付かないうちにハイリスクハイリターンの資産運用をするようになってしまいます。誰でも最初は『おっかなびっくり』で、リスクの少ない金融商品とつき合い始めますが、少し時間がたつと、どうしても、より高い収益性を求めるようになる傾向が出てきます。
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