第9回
その8 “果実との交換(2)” –債券投資 後編–
2011.08.09 [山田 英次]
債券の特性
それでは、お金を貸す投資手法、債券の特性をまとめておきましょう。
これまでのお話で、すでに、ご理解いただいたかと思いますが、債券という借用証書の特徴は、『時価が、市場金利と逆の動きをする』ということになります。
いつの時代も、投資対象の選択肢の一つに挙げられる債券ですが、この特徴をおさえておくだけで、随分と、リスクを減らした運用ができるようになるのではないかと思います。
蛇足ですが、このようなお話をすると、『市場金利が1年後に3%から5%にあがっても満期まで持っていれば、損はしない!』と考える方もいらっしゃるかと思いますが、これは、おおきな誤りです。
街では5%の金利をもらうことが当たり前の時代に、自分だけ3%の金利で我慢する10年間を過ごすということは、大きなロスになるのです。(もしかしたら、物価も上がっていくかもしれません。)
ですから、仮に下取りに出さない、つまり現金化しないとしても、やはり、自分の債券投資の金利と、市場金利との差を意識しておくことは、とても、大切なのです。
ちなみに、個人向け国債が世の中に出てきたのは、現在と同様、超低金利時代になって間もない2003年でした。
金利が上がるしかない時代に、機関投資家に比べれば金融知識が乏しい個人向けに国債を提供したことに対しては、賛否両論があることも付け加えておきたいと思います。
さて、今回のコラムで『お金を貸す』直接金融の1つ、債券投資のお話は終了となります。次回からは、『お金をプレゼントする』直接金融のお話を進めていきます。
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