第12回
その11 “果実との交換(5)” –株式投資 後編–
2011.09.27 [山田 英次]
指標① PER…現在の株価は、その企業が生み出す利益の何年分??
まず1つ目は、現在の株価が、その企業が生み出す何年分の利益に相当する金額となっているかを表す指標です。この指標のことを株価収益率といい、一般的にはアルファベットでPERと表記し、単位は「倍」です。
⇒ PER = 株価収益率 = 株価 ÷ 1株当たりの利益
PERが5倍となっている企業は、5年分、100倍となっている企業であれば100年分の利益に相当する金額で売買されている訳ですから、この数値が低いほど、割安だ、といえることになります。
ですが、将来の利益が一定とは限りませんから、注意が必要です。例えば、急成長する企業の場合、その成長性が織り込まれて(=既に反映されて)、見かけ上、(タイミングによっては)PERが異常に高い数値になっていることもあります。
(例)
新規ビジネスが急成長をしている企業AのPERが、現在100倍だったとします。
1年後、株価がかわらずに、利益だけが5倍に膨らんだ場合、1年後のPERは1/5に下がることになり、20倍となります。近未来に生み出される利益を織り込んで、先に株価が上昇すると、このような状態になります。
指標② PBR…現在の株価は、その企業が持つ資産の何倍の値段??
2つ目は、企業が持っている資産を基準として、現在の株価が、その何倍の水準であるかを示す指標となります。この指標のことを株価純資産倍率といい、一般的にはアルファベットでPBRと表記します。
⇒ PBR = 株価純資産倍率 = 株価 ÷ 1株当たりの純資産
極端なお話ですが、例えば、ここに、100万円の車を10台だけ持っており、それ以外のものは何もないタクシー会社があったとしましょう。持っている資産は、タクシー10台分となる1000万円だけです。
そして、その会社が発行している株が、たったの1株とします。
仮に、この会社の株価が1000万円だった場合、第三者からみたその会社の価値は、当たり前ですが、1000万円ちょうどということになりますから、将来生み出される付加価値が0円だと判断されていることを意味します。現在保有している車10台以外の価値を認めてくれていない訳ですから、経営者としては、切ない状況です。
なお、本来は、これからタクシー10台が生み出して行く利益が、会社の価値として加わっていくはずですから、少なくとも、健全な企業のPBRは1倍よりも大きいのが自然です。
言い換えれば、PBRが1倍だということは、成長に対する期待値が0とみなされていることを意味しますし、1倍よりも小さい場合は、成長せずに資産を減らし続けると見られていることを意味します。(1倍よりも小さいケースは、通常はあり得ないはずなのですが、リーマンショック後からは、見かけるようになりました。)
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