第13回
その12 “果実との交換(6)” –株式投資 番外編–
2011.10.11 [山田 英次]
皆さん、こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの山田英次です。
前回までの3回のコラムで、株式投資の概念と、投資する意義についてお話をしてきました。
結局のところ、株式投資とは、長期的に自分のお金を赤の他人に有効活用してもらい、それによって生み出された利益の一部を分けてもらう投資方法だといえます。ですが、実際に株式投資をしている人の全てがこのような方法で利益を確保しているとは限りません。
短期的にみると、ちょっとした経済動向の変化で『生み出された利益の一部を分けてもらえる』可能性は、高まったり、逆に低くなったりすることが多々あります。この瞬間、瞬間の値動きの中から利益を確保しようという人たちもいるのです。
今回の株式投資の番外編では、この辺りのお話を整理しておこうと思います。
株価が変動するのはなぜ?
すでにお話しました通り、株とは、3つの権利(※)がついた出資証明書の位置づけにあるもので、株価は、市場の野菜、魚や肉と同じように、短期的には、単純な需給のバランスで変動しています。
※①経営参加権②利益配当請求権③残余財産分配請求権の3つ
◇ 買い注文 > 売り注文 ⇒ 株価は上昇します。
◇ 売り注文 > 買い注文 ⇒ 株価は下落します。
これは、旬のはしりに一尾500円以上で販売されていたサンマが、数が出回る旬を迎えるころには100円程度まで値段が下がることと同じ理屈です。ズワイガニが年末になると高騰するのと同じで、需要と供給のバランスによって値段が決まっているのです。
つまり、短期的に株価が動くのは、短期的な事情(経済動向)や、短期的な投資家たちの心理による影響が大きいといえるのです。なんだか当たり前に聞こえるかもしれませんが、これを噛み砕くと、短期売買で利益を上げようとするのであれば、『本来の企業価値、未来への可能性に注目するのではなく、集団の心理(恐怖心や射幸心の推移)に注目すべきである』ということになります。
しかし、もし、皆さんが、長期保有を前提に株式投資に臨むのであれば、注目すべきポイントは大きく変わってきます。
長く株を保有していると、『業績を伸ばす企業は買われ、業績を下げる企業は売られる』という、これまた当たり前の傾向が、ハッキリとあらわれてくるからです。従いまして、今度は、短期的な需給バランス、集団の心理(恐怖心や射幸心の推移)などに対して注意を払う必要性が薄れ、純粋に企業のポテンシャルを見極めればよいということになります。
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