第14回
その13 “果実との交換(7)” –債券と株券–
2011.10.25 [山田 英次]
景気を基準に考える
ここで、改めて債券の特性を確認しておきましょう。
8月9日のコラム(その8 “果実との交換(2)” –債券投資 後編–)で、お話しました通り、借用証書の位置づけの『債券』は、『時価が、市場金利と逆の動きをする』特徴をもっています。
つまり、金利が上がると、手元の『債券』の価値が下がり、金利が下がると、手元の『債券』の価値が上がるのです。
では、その債券価格を左右する市場金利は、どのような時に上がり、どのような時に下がるのでしょうか?
その答えは、恐らく、普通預金の金利を眺めている時の皆さんの感覚そのままです。
市場金利は、普通預金と一緒で景気が良い時は、上がりやすく、景気が悪い時は下がりやすいというシンプルな傾向をもっているのです。
従いまして、これらの当たり前とも思えるお話をまとめると、『債券は、景気が良くなると価値が下がり、景気が悪くなると価値が上がる傾向がある』ということ事になります。
これに対して、株券は、どうなるでしょうか。
こちらは、簡単で、景気が良くなると、企業の売上高が大きくなり、利益率も高くなりますから、株価は上昇する傾向が強くなります。また、逆に不景気になれば、株価は、2011年10月現在のように低迷することになります。
つまり、『株券は、景気が良くなると価値が上がり、景気が悪くなると価値が下がる傾向がある』ということになります。
さて、ここまでのお話を1つの図式で表わすと、以下のようになります。
この図式から読み取れるのは、結果論として『債券価格と株価は、逆の動きをすることが多い』というシンプルな事実です。また、『景気がよい時は、株式投資が有利で、景気が悪い時は、債券投資が有利』であることも読みとることができます。
このいわれてみれば当たり前の特性を理解し、そして、理解するだけではなく、実際の投資行動に活かすことができれば、皆さんの資産運用は、より安定的な結果となっていきます。
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