第14回
その13 “果実との交換(7)” –債券と株券–
2011.10.25 [山田 英次]
当てにいかない投資
では、次に、『投資行動に活かす』という言葉が、何を意味しているのかを考えてみましょう。
時々、先ほどの図式を見て『景気の先行きを予想して、債券と株のどちらか一方に全力でチャレンジすればいいのだ』と理解してしまう方がいらっしゃいますが、これは、間違ってはいませんが、とても難しい方法です。『景気の先行きを当て続ける』ということは、有名なアナリストにとっても至難の業なのです。
もちろん、それが、できれば、最高のパフォーマンスを追求することも可能になるのですが、それは、現実的ではありません。ですので、皆さんには、景気動向を当てるのを諦めて、株と債券の双方を保有する方法を紹介したいと思います。
と、書くと、逆行性のある2つの投資対象を保有しても、いつも利益を相殺してしまって、いつまでたっても儲からないじゃないか、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、前述の通り、『今すぐ使わない自分の遊休資産(現金)を、今すぐ使いたい人に提供し、その代償として利益を手にする』ことを期待しているという投資をしているという点では、株式投資と債券投資は共通している訳ですから、中長期的には、(資本主義経済が健全に保たれていれば)双方ともに上昇していくことになります。
⇒株と債券の双方を保有するイメージは、以下の図のようになります。
この投資手法が、うまく機能すると、景気動向に左右されずに安定的な資産運用ができるようになるのです。
特定の銘柄や、特定のカテゴリー、特定の商品群を保有して、一か八かの勝負をするのも面白いかもしれませんが、先ほどのイラストの様なイメージの『当てない』けれど『負けにくい』投資方法も魅力的といえるのではないでしょうか。
次回は、具体的に過去のデータを見てみたいと思います。
コメント