第26回
感情でお金と付き合わない
2012.10.16 [山田 英次]
お金と感情的に付き合わない
さて、資産運用をスタートすれば、同じようにお金を増やそうとしている人と情報交換したり、本やインターネットから情報を得たりするようになりますが、人はどうしても自分の成果と人の成果を比べたくなります。
すると、「負けないこと」を第一目的とし、10%以下の利回りをできるだけ高い確率で確保しようと運用をスタートしたはずの人たちの中にも、時間の経過とともに自信を失う人が増えてきます。目にする情報の多くは、良好な運用実績だけを抜粋したような情報ばかりなので、例え自分の運用結果がプラスであっても、満足していてはいけないような気がしてくるのです。
そうなると、徐々に運用スタンスが変化していき、気付かないうちにハイリスクな運用スタイルになってしまうことにもなりかねません。
このようなスタンスの変化を未然に防ぐためには、「感情でお金と付き合わない」ことが必要なのですが、今回は少し意地悪なクイズを一緒に考えながら、その練習をしてみたいと思います。
まず、もし皆さんが、お仕事帰りに初めて入ったイタリアンレストランでワインを選ぶとしたら、どちらのワインを注文しますか?また、どちらのワインが人気があると思いますか?
もちろん、皆さんが選ぶワインはどちらでも構わないのですが、通常はリーズナブルなチリのワインに人気が集まります。
でも、レストランのオーナーの本音は違います。単価の高いブルゴーニュのワインがたくさん売れた方が嬉しいのです。
では、もし皆さんがレストランのオーナだったら、どのような方法でブルゴーニュワインの注文数を上げようと思いますか?
お金の価値の錯覚
この答えは、簡単です。ワインリストを下記のように書き換えればいいのです。
こうなると、ブルゴーニュワインが比較的手頃な価格に見えてくるかと思います。
二者択一のワインリストでは、ブルゴーニュワインは特別な日にオーダーするもののように感じられたと思いますが、ブルゴーニュワインより高いボルドーワインをオンリストするだけで、ブルゴーニュワインがずいぶんと身近に感じられるようになったと思いませんか?
例えば、
「ボルドーは、クリスマスのディナーにでも頼めばいいか。今日はブルゴーニュかチリにしよう。でも、せっかくレストランに来たのだから、ちょっとぜいたくしてブルゴーニュにしよう」
そんな気持ちでリストを眺めるようになるのです。
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