第18回
低価格路線が市場を席巻する
2012.02.07 [斉藤 ヒジリ]
去年は、震災という大きな事象がマンション市場に大きな影響を与えました。このことにより、人々のマンション選びに対する考え方も大きく変わりました。そんな変化を踏まえながら、今年のマンション市場はどうなっていくのか考えてみたいと思います。
その前に、去年から今年にかけて分譲されたマンションを見て感じたことがあります。そのいくつかをお話ししましょう。
《価格至上主義?!》
まず、消費者の価格に対する意識が非常に強まっていると感じます。
2010年までは、高級と呼ばれるマンションでもすぐに完売となっていました。環境、立地、ロケーションが良く、売主やゼネコンもネームバリューさえあれば、私が少し高いかなと感じる価格でも売れていたのです。
しかし去年からは、どんなに諸条件が良くても、価格が高めのものは確実に売れ残りが出ています。特に、都心の高級マンションや中規模のマンションは、軒並み苦戦を強いられている状況です。
一方、価格の安さを前面に押し出したマンションは、販売が好調です。現在分譲中で好評なマンションを2つ挙げましょう。
グランシンフォニア
最寄りのJR埼京線「戸田公園」駅から徒歩8分、総戸数923戸の大規模開発のマンションで、共用施設やサービスが充実しています。それでも中心価格帯は、周囲の相場以下あるいは同程度のため、販売は好調です。
閑静な環境に加え、これだけの長所を持ちながら価格を抑えている点が、販売好調の要因だと感じます。
プラウドシティ稲毛海岸
最寄りのJR京葉線「稲毛海岸」駅から徒歩17分と、バス便ながら、80平米弱のファミリータイプが2500万円からという魅力的な価格により、集客に成功しています。
バス便のマンションは販売に苦労するのが常でしたが、第1期の100戸は即日完売でした。それだけ今の消費者は、価格に対して敏感なのです。
その他、このマンションでは、地盤の良さと商業施設の充実、そして戸建街区も合わせた総戸数820世帯という大規模開発を売りにしています。
このような例から考えると、価格に対する見方が非常に厳しくなる中、今年のマンションの市場価格はさらに弱含みとなると思います。つまり当面は、高ければ売れない状況が続くでしょう。
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