第1回
東日本大震災とマンション
2011.04.19 [斉藤 ヒジリ]
東日本大震災により、現在もさまざまな混乱が続いています。今回のコラムを執筆するにあたり、震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方、そのご家族に心からお見舞い申し上げます。
2011年(平成23年)3月11日に発生した地震の後、各地でさまざまなことが起こっています。マンション市場についてお話すると、販売中のマンションやこれから販売を予定しているマンションの多くが販売休止になっており、計画停電の影響などで、モデルルームも満足に開けられない状況です。
これから特に深刻なのは、建築資材の調達が困難になることです。このことにより、マンションの工期への影響が危惧されています。東北地方から資材調達が困難な場合、代替の手段を考えなければなりません。トヨタなど大手製造業では、部品調達ができず、生産減を余儀なくされていますので、マンション業界についても同様のことが考えられます。
≪東日本大震災によるマンションの被害状況≫
マンション管理会社の業界団体、高層住宅管理業協会は、東北地方のマンションの被災状況をまとめました。2011年(平成23年)4月16日時点で、協会加盟の業者が管理を受託している1584物件のうち、1106物件の調査が終了しており、その21.2%が、補修などの対応が必要と判断されました。その中で、大規模な修繕が必要と判断されたものは2.4%(26物件)、タイルがはがれ落ちたり、壁にひび割れが生じたものが、18.8%でした。
この結果を見てみると、あれだけの揺れの本震、その後何度も襲った余震で、この程度で済んでいるということは、日本のマンションの躯体は、基本的にはしっかりしているといってもいいのかもしれません。阪神・淡路大震災以降、特に建物の耐震については強化が進みました。ですから、それ以降に建設されたマンションは、地震などで住めなくなるほど打撃を受ける、あるいは倒壊する、という心配をする必要はないと思われます。
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