第29回
消費税。これから押さえておきたいポイント
2013.01.22 [斉藤 ヒジリ]
2012年の年末に政権交代があり、2013年は経済的な変化を予感させます。今回は年頭に当たり、2013年のマンション市場の予測と購入の際のポイントについて考えてみたいと思います。なお前回、私の印象に残ったマンションをご紹介していくこととしていましたが、次号以降でご紹介します。ご了承ください。
政権交代直後から早速、株高や円安が進行しています。自民党が景気対策最優先の方針を打ち出していることから、景気拡大策への期待が高まっています。また、消費増税についても、「景気の状況を鑑みて」という条件が付いているものの、導入前の駆け込み需要が期待できることから、マンション市場関係者からは熱い期待がもたれているところです。
そこで今回は、マンション購入においてかかる「消費税」について、押さえておきたいポイントを解説します。
マンション購入など大きな買い物をするとき、当然ながら消費税額が大きくなるため、消費税が上がる前に買っておきたいと考えることは自然のことでしょう。しかし、消費税が上がると必ず損をしてしまうのでしょうか。そうした単純な発想は、私は危険な気がします。
まず、簡単に消費増税のタイミングについておさらいしておきます。通常は引渡し時の消費税が適用となりますが、経過措置として、平成25年9月末までに契約をしていれば消費税は5%で済み、平成25年10月1日から平成27年3月末までに契約をすれば、引渡し時に消費税が10%になっていても、8%が適用となります。
次に、消費税の掛かる対象について知っておきましょう。消費税が掛かるのは、マンションの建物部分であって、土地持分には掛かりません。戸建住宅と違い、マンションでは建物部分が大きいため、消費税の影響を大きく受けます。
しかし、例えば4,000万円のマンションを買うとして、仮にすべてが建物価格とした場合、消費増税による負担額はプラス120万から200万円です。一生物の大きな買い物をするのに、増税があるというだけで急ぐほどの価値が本当にあるのか、ここは冷静に見極めていただきたいポイントです。
消費増税による駆け込み需要があることは確かでしょう。しかし、現在は少子高齢化が進行し、マンション需要が減退しています。この駆け込み需要が終わったのち、相当の反動があることが予想されています。したがって、消費増税後はマンション不況となり、マンション相場が下落した場合、増税分が簡単に相殺されてしまう可能性があります。
もうひとつ別の観点から見てみます。住宅投資というのは経済の基盤的要素です。そこに大きな打撃を受けた場合、経済全体に大きな影響を与えてきます。そこで政府は、それに対応すべく、さまざまな対策を打ってくるのが通例です。
年末には国交大臣が、消費増税に伴う住宅購入の負担軽減策について言及しています。住宅ローン減税の拡大、あるいは取得費用や固定資産税等の減免などが行われれば、増税後の負担額はさほど大きなものではないかもしれません。
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