第33回
インフレの本質とマンションへの影響
2013.05.28 [斉藤 ヒジリ]
最近、どのメディアを見ても、アベノミクス効果で株高や円安が進み、輸出産業を中心に業績を上方修正するといったニュースが踊っています。
消費者も財布のひもを緩めつつあり、今年の海外旅行人数は過去最多になる見通しとのこと。
一部の高級輸入車は、前年比50%増の売り上げを記録するなど、景気回復の兆しをみせています。
ご多分に漏れず、マンション業界にものその兆しが見えます。
去年までは苦戦すると思われていた1億円を超える都心の高級マンションがどんどん売れていく現象を、特に4月ごろから私は目の当たりにしています。
相場としては、坪400万円前後、3LDK、80平米で約1億円前後あたりのマンションの動きが活発です。
私は、ここがひとつの潮目だと感じました。
これからしばらくは、高級マンションの好調な動きから一般的なマンションにその流れが波及するかというところが、注目すべきポイントだと思います。
「株でもうかった人が高級品を買っているだけ」という意見もありますが、私はもっと本質的な大きなうねりを感じます。それは、「お金のシフト」です。
これまでは、物の価値が下がる「デフレ」でしたから、特別投資をしなくても、お金を貯蓄し、守っているだけで、それはそれで価値のある行動でした。
しかしインフレとなれば、それはまったく逆の意味となります。
「インフレ=物の価値が上がる=お金の価値が下がる」ため、銀行などで蓄えていることは、ただその価値を下げるだけとなります。
庶民であれば、その損失はたかが知れていますが、お金持ちはそうはいきません。
額が大きい分、貯蓄は大きな損失となり、資産の目減りにつながってしまうのです。
これにより、これから価値が下がるであろう「お金」を、とにかく「物」に替えておきたい、というマインドが生まれているのです。
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