第14回
“自宅と同じように”を追求する“大人”のホーム 〈アミーユレジデンス野川〉(1)
2012.01.17 [木原 洋美]
認知症になっても、自由な外出を尊重する
食堂兼多目的ホール。レクリエーションなども行われます。
「ご自宅にいるように、快適に過ごしていただきたい」と、コンセプトを掲げているホームはとっても多いです。
でも「自宅」の一番の特徴は「自由が普通にある生活」ですが、たいがいのホームの玄関はオートロックになっており、自由な出入りはさせません。
認知症の方がスタッフに気づかれないうちに外に出て、迷子になったり事故にでもあったりしたら大変ですし、そうでなくても、管理の行き届かないところでご入居者が倒れでもしたら心配だし、責任問題になるからです。
確かに、それはそうだろう…とも思います。
けれど『アミーユ』は違います。
「ノーマライゼーション(普通の生活)の実現」をコンセプトに掲げており、そのための第一項目として「介護を必要とされた方々の「障害をもつ以前の生活」を重視し、ひとり一人の生活習慣に合わせたオーダーメードケアを実現します」と述べています。
たとえば、ある認知症のご入居者のケース。
「その方は、記憶障害をおもちでしたが、毎日お気に入りの喫茶店に出かけ、コーヒーを飲むのを日課にしていました。だからアミーユに入居しても、その日課を続けたいと望んでいたのです。
そのご要望を叶えることはできるのかどうか。私たちはご本人様やご家族と話し合い、ご本人が外出する際に後ろからついて行き、リスクはどのていどなのかを検討。その結果、迷子になるリスクはGPS機能付き携帯などを持っていただくことでカバーして、自由な外出と喫茶店通いの習慣を実現させていただきました。
とはいえ、お一人での外出は、交通事故などの危険はもちろんありますし、GPS機能付き携帯などをなくしたり、忘れてしまう場合もあるでしょう。そうしたリスクもとことん話し合った結果、ご本人様がイキイキと暮らせるほうを、ご家族は選択されました」
と話してくれたのは、『アミーユレジデンス野川』のY施設長。野川の施設はまだオープン間もないため、玄関は出入り自由にはなっていませんが、既存の施設は出入り自由。
「普通の家では、外に出られないようにはしませんよね。アミーユは普通の家ですから、誰でも自由に外に出る権利を守ります。そのためには、リスクをご家族に理解していただきます。施設に閉じ込めて、ご本人様が生活意欲をなくすのとどちらがいいのか。リスクについてのアセスメントには、相当、時間をかけています」(アミーユレジデンス野川Y施設長)
コメント