第8回
某大手グループの有料老人ホーム もう1つの自宅として、家族も気軽に訪れるホーム
2011.09.06 [木原 洋美]
小回りの利かせすぎぐらいのサービス
ホームの目の前にある公園。緑豊かで、気持ちがいいです。
同ホームは駅から徒歩8分。
閑静な高級住宅街に位置し、緑豊かな公園が隣接している立地はなかなかのもの。
ただ、もとは企業の社員寮だった建物を転用しているので、高齢者向けの施設としては、ハード面で特に目玉になるものはありません。
「うちはソフトで勝負です。そこはスタッフも当事者意識を持って頑張ってくれています。マニュアルで固めた画一的なケアではなく、小回りの利かせすぎぐらいのサービスができたらいいですね。
安心安全はもちろん確保した上で、そこから先は、お客様とスタッフが作り上げるものだと思います。
そのために、スタッフとお客様の人間関係を築く工夫もしています。この仕事は、お客様にいかに寄り添い、同じ方向をみていくかだと思うんですよ」
Kさんにお話を伺った後、館内を見学させていただきました。
清掃が行き届いているのに加え、各階のトイレに飾ってある花は、階ごとに色分けされていました。
ご入居者が自分のフロアを分かりやすくするための工夫です。
廊下に立っていることが多かったご入居者のために置かれたソファ。気にいってもらえたそうです。
またある階の廊下の突き当たりには、ソファが置かれていました。
「ソファの前の部屋にお住まいのお客様が、いつも廊下に立っておられることが多かったので置いてみました。以来、お友達と何時間も腰かけて、話し込んでいらっしゃいます」
Kさんが、ご入居者をしっかり見ているからこその、“小回りの利いたサービス”ですね。
見学を終えて、エレベーターを降りると、ご入居者の男性が昼食を食べずに部屋に戻ろうとしていました。(認知症があるようです)すかさず声をかけるKさん。
「今日は○○様の好物のうなぎなんですよ。ぜひ召し上がってください」
と笑顔で説得。
その横では、食事を終えたご入居者と医師が話し込んでいました。
毎週土曜日に往診に来る提携クリニックの医師による健康相談風景なのですが、ふつうのお宅の居間で、息子がお母さんの足をさすってあげているような、とてもリラックスした雰囲気が印象的でした。大手の、超リッチな有料老人ホームの雰囲気やサービスは、一流ホテルに似ています。「まるで人生のご褒美のような」と、訪れるたびに思います。
一方、こちらのホームにあるのは、「ご褒美」というよりは、穏やかで明るい日常です。
入居金は412万円~748万円。
(入居金0円プランもあります)
「ホームのご近所の方に、家では暮らせなくなったからこちらに移った、みたいに自然に入居して欲しいんです。そして、それまでの人生と同じリズムで暮らしていただきたい。私たちの仕事はそのお手伝いです。ご家族も、気軽に会いに来てください」
レクリエーションの1つ、『ルーシーダットン』(タイ式ヨガ)は、ご家族の参加もオッケー。ご入居者であるお母さんと一緒に、毎週参加している娘さんもいるそうです。 本当に自宅の延長みたいですね。
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