フロム・ナウ流 有料老人ホームガイド

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第7回
私の時間 そこに子どもたちがいる、自然で懐かしい光景

めざすは『一世紀家族』の実現

ウッドデッキのあるバルコニーは解放感があります。

一緒におやつを食べ、旗揚げやトランプ、園児のお遊戯などを愉しむ「おやつ交流」も見せていただきました。

まず感心したのは、子どもたちが、ご入居者によくなついていることです。
ひざにのったり、抱きついたり、手をつないだり。
本当の孫みたいです。

それも当然。触れ合いの頻度が高いのです。

「おやつ交流は、現在は週一回。それ以外にも行事があった場合には、一緒に出掛けたり、あとはご入居者様が、保育園のほうに遊びに行く日も月2回ほどあります」(ケアスタッフさん)

子どもと接しているときのご入居者は、とってもいい顔になります。

無表情だった女性には笑顔が浮かび、水分を取りたがらなかった男性は、「お水飲んで」と子どもに耳打ちされると嬉しそうに飲んでいました。スタッフがいくら言っても、飲まなかったのに。
また、子どもたちの登場で急にしゃきっとして、お行儀を教えている女性もいました。もと保育士だそうです。なるほど頼もしく、イキイキしています。

「私の時間」がめざしているのは、0歳から100歳ぐらいまでが、存在を身近にかんじながら暮す『一世紀家族』の実現だそうです。

「運営母体のひまわり福祉会は、『私の時間』以外にも、ベビーシッターの派遣や保育園の運営事業、小学校の学童保育、高齢者の介護事業など、幅広く、すべての年代層に向けたサービスを展開しています。
そこで、その組織力を活かして、『一世紀家族』を、もっとつくることできるんじゃないかなって思うんです」(施設長さん)

いいですね。でも、考えてみれば昔は、身の回りに普通に『一世紀家族』があったような気もします。

「そうですね。昔の町内会は、子どもとお年寄りは普通に近い存在でした。
だけど、今の世の中、お年寄りが孤独死したり、高齢者同士で介護をしたりというところで家族という関係も病んでいて、人と人とのつながりや共存が薄くなっています。でもやっぱり人は一人じゃ生きていけません。支えあいが必要です。
ここでは、子どもにとって、お年寄りは遠い存在ではないし、お年寄りにとっても、子どもから元気がもらえます。子どもを応援するなかで、生きがいを見出すこともあると思います。お年寄りと子どもたちって、相互にきらりと光るいい存在同士なのかなって感じます」(施設長さん)

おやつ交流が終わって帰るとき、子どもたちは「ばいばい、また来週ね」と手を振っていました。
すると一人の女性入居者が、ポロポロと泣き出しました。
「息子が小さかったころのことを思い出して」と。

笑いと同様、涙にも、癒しと免疫を高める効果があるそうです。

可愛い子どもたちと遊んで、息子の子供時代を思い出してこぼす涙は、切ないけれど幸せな涙だと思いました。

『私の時間』は保育園と有料老人ホームとグループホームが同じ建物に複合する、新しいタイプの施設。
建物内には、あえて死角を設けるなど、町内の路地裏空間を思わせる工夫がこらされ、プライバシーへの配慮とおしゃれでモダンな印象を受けます。
入居金は65歳~の場合で450万円、1800万円、2850万円と3つのプランがあります。これは入居金を最初に多く支払えば、月々の利用料が安くなり、少なく払えば高くなるという仕組み。
ほかにも、契約金130万円の1年契約プラン【ミドルプラン】もあり、選択肢は多彩。
全28居室と小規模だけに、雰囲気はとっても家族的です。

食事の試食付きで見学もさせてもらえます。

私の時間 ホームページ
http://www.watashinojikan.jp/index.htm

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