第6回
まほろばの里・市が尾別館/市が尾本館 ノーマライゼーションを実践するホーム
2011.08.02 [木原 洋美]
対応のむずかしい認知症も受け入れ可能
病院との連携の強さも、同ホームの自慢です。
「たとえば認知症の方に対しては、レビー小体型認知症の権威である精神科の先生が、毎週のようにホームにやってきてくれます。精神科医で、機械的に薬をだしておしまいという方もいるのですが、この先生は、状態を見ながら薬をこまかくコントロールしてくれますし、我々スタッフのケアの仕方についても指導してくれます。
レビー小体型認知症は、幻視や妄想がひどいと暴力行動が伴ったりするため、ほかの施設では断られることがあるそうですが、うちでは、受け入れることができます。
私は、病院との連携も、結局は人間としてのつきあい次第だと思います。妥協せずに、よい先生を探していくことが大切だと思います。
入院設備がある総合病院とも提携しているので、万一の場合には、受け入れてもらえます。これも重要なことです」(同)
めざすのは「ふつうの老人ホーム」
同ホームのホームページには、
「当たり前の礼節と、当たり前のサービスができるふつうの有料老人ホームをめざしています」
と、目標が掲げられています。
入居金は、280万円~330万円、ご夫婦部屋で560万円~680万円。
月額利用料はお一人17万90円~といたって庶民的。
昼食のきつねうどん定食
取材した日の昼食です。“ふつう”においしかったです。品数もあるし、料理上手なおかあさんの昼食って感じでした。おにぎりにぐっときます。
リッチな共用施設はなく、食事も一流シェフがつくってくれるわけではありません。
食べられるのは、家庭的でふつうの、おいしい料理です。
そしてご入居者は、地縁のある方がほとんどで、「口コミ」でやってくる方が多いとか。
「なかには、このホームが見えるマンションに甥御さんが住んでいる方もいますよ。それから単身の方で、ご近所に自宅があり、夜だけホームに泊まる方もいらっしゃいます。日中はまだまだご自身で自由に活動したいけれども、夜は安心して眠りたいということが理由です」(同)
ホームのよしあしを見分けるには、「口コミ」と「ご近所の評判」は重要です。その点、同ホームは合格ですね。
実際、取材に訪れた日も、近所に住む家族が次々と訪れ、ご入居者を散歩に連れ出していました。こういう光景は、ほかのホームではなかなか見られません。
「ふつう」というのは「平均」ではありません。
ご入居者や家族にとって、平穏で安心で、人間的な日常が、当たり前のように確保されていることが「ふつう」であってほしいと私は思います。
そしてここ『まほろばの里・市が尾別館/市が尾本館』には、しっかりと「ふつう」があると感じました。
まほろばの里 ホームページ
http://www.mahorobanosato.jp/
※ノーマライゼーション
障碍者や高齢者など社会的に不利を受けやすい人々(弱者)が、社会の中で他の人々と同じように生活し、活動することが社会の本来あるべき姿であるという考え方。
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