第2回
パールヴィラ新井薬師 「神は認知症ケアに宿る」かも
2011.06.07 [木原 洋美]
意思表示できない方こそ手厚い介護を
同ホームでは、それぞれの状況に合わせたきめ細かい個別ケアが行われています。
たとえば、目が不自由で、言葉も話せない、寝たきり状態のご入居者に対しては、興味のありそうな本などをスタッフが選び、耳元で読み聞かる「レクリエーション」の実施です。
「○○さん、今日は、○○という本を読ませていただきますね」と声をかけ、時折肩に手をかけてなでながら、大きな声で、ゆっくり、はっきりと読んでいきます。
「こうしてお声がけしながら、読んで差し上げることがコミュニケーションにもなりますし、よい刺激になると考えています」(スタッフ)
タライにお湯をはり、くるぶしの上あたりから指先まで、温めながらマッサージするように洗う約10分間の「足湯」という「レクリエーション」もあります。洗ってもらっているご入居者は、本当に気持ちよさそうなお顔をされていました。
「これがレクリエーション?」と思う方もいるかもしれません。でもつかの間のひととき、集団ではなく1対1で触れ合う時間があるってとても大きいと思います。それに、足の指と指の間なんて、物心ついてから他人に洗ってもらった経験って、普通はないですよね。それを優しく、丁寧にしてもらえるのって、ありがたいし、うれしいんじゃないでしょうか。
給食会社が母体だけに一番の自慢は食事
認知症が進むと意思表示が乏しくなるため、在宅でさえ、家族からほったらかしにされている話をよく聞きます。へんな話ホームでも、「レクリエーション」をしなくてもバレないだろうし、一番手抜きしやすいはず。・・・だからこそ、地道に、思いやりこめて尽くしている「パールヴィラ新井薬師」の光景に、ほんわかと温かい気持ちになりました。
ベッド数24と小規模なところも、ご入居者とスタッフとの“なじみの関係”が築きやすく、認知症ケアには適している長所です。
ものごとの本質は、ほんの細かいところによくあらわれる、という意味で「神は細部に宿る」という言葉がありますが、有料老人ホームのよしあしは、認知症の方への接し方にあらわれるような気がします。(超がつくほどの高級老人ホームでも、冷淡な場面を見たことがあります)
もちろん同ホームでは、散歩や琴・尺八の演奏会などの正統的な「レクリエーション」も行われています。それと経営母体が給食会社だけあって、一番の自慢は食事です。おいしさ、摂食・嚥下への気配り、栄養などすべてに配慮されていることも、最後に補足させていただきます。
西武新宿線の新井薬師前駅から徒歩2分の便利な立地。東京都中野区最大の寺院である梅照院を中心に発展した一帯は下町情緒にあふれていて、いい感じです。お参りがてら、見学に訪れみてはいかがでしょう。
自慢の食事は、ご入居者のご家族からも「おいしい」と評判だそうですから、施設見学をする際は、ぜひ試食させていただくことをお勧めします。
パールヴィラ新井薬師
http://www.pearlvilla.net/araiyakushi/
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