フロム・ナウ流 有料老人ホームガイド

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第21回
元気を取り戻す力がある

卓越した医療以上に入居者を元気にさせるもの

さて、そんな山口医師がサポートする「幸楽壱番館」の最大の特長は、リハビリの充実ぶりだと思います。

入居者の身体状況に合わせ、高月整形外科病院に在籍する理学療法士や作業療法士による指導・管理のもと、常勤の柔道整体師が最多で週6日のリハビリを実施して、大きな成果を上げています。
「プロの適切な判断のもと、必要に応じて完全オーダーメイドのリハビリ器具を用いながらトレーニングを行っています」

なんと「幸楽壱番舘」のリハビリ器具は、山口医師考案によるオーダーメイドなのです。
それらの器具を、山口医師のやり方を十分に理解したスタッフが活用することで、入居者はそれぞれめざましい機能回復を見せているというのです。

「寝たきりだった方が車椅子に乗れるようになり、さらには歩行器を使って歩けるようになり、やがて手すりにつかまって歩けるようになる…そういう姿はうちのホームではよくあること。それは我々医師やスタッフにとって最高の喜びになります」

誇らしげに語る山口医師ですが、実は、そうした回復の原動力は、オーダーメイドのリハビリ器具やスタッフのプロフェッショナルな技術以上に、「入居者の話に耳を傾ける姿勢」とのこと。

「人間というのは、孤独に弱い生き物です。ご入居者のなかには、寝たきりになり、話し相手もなく、生きる喜びを失くしている方がたくさんいました。
そういう方々は、話を聞いてあげるだけで見違えるほど元気になりましたよ。
話したいときに聞いてくれる人がいて、自分が一生懸命努力していることに対して褒めてくれて、励ましてくれる人がいることで、人はようやく明日に向かって生きられる生き物なんです。
また、一口に寝たきりと言っても、身体的に困っていることはさまざまなんです。私がそれを聞き出して、『どうして今まで言わなかったの?』と聞くと、『だって誰も聞いてくれなかったから』と、これもよく言われます」

リハビリなども、入居者の話をよく聞いて、「回復したら〇〇しましょう」と動機づけをしてあげると、頑張りがぜんぜん違うそうです。

「私がめざしているのは、あらゆる医療機関や老人ホームから見放されるほど身体機能が衰えた方も、積極的に受け入れられる施設です」

そう熱弁をふるう山口医師ですが、自信を支えているのは、高度な医療技術よりも何よりも、「入居者の話をよく聞くこと」。
ほっとすると同時に、しみじみ共感するのは私だけではないと思います。

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