“その時”では遅い相続の話

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第4回
子供がいない夫婦にとって、遺言は大きな意味を持つ

民法では法定相続人と法定相続分が定められているから、遺言はなくても心配ないのでは―。みなさんの中には、このように考える方がいらっしゃるかもしれません。しかし、遺言があるかないかで大きな差が生まれます。そこで、今回は遺言がない場合、相続はどのように進められるかについて述べるとともに、遺言の存在が大きな意味を持つケースもご紹介しましょう。子供のいない夫婦の方は必読です。

遺産分割協議がまとまらなければ家庭裁判所で調停・審判。

民法では、遺言がない場合には、法定相続人が相続する割合が決まっています。これを法定相続分といいます。通常は、この割合を基準にして法定相続人全員で分け方を話し合うことになります。この話し合いを遺産分割協議といいます。
法定相続人全員が合意すれば、違う分け方をしてもかまいません。また、法定相続分はあくまでも割合であるため、どの財産を誰が相続するかは決められていません。そのため、法定相続の割合通り相続する場合でも、財産の分け方が決まらないということがよくあります
そのような場合には、多数決というわけにはいきません。家庭裁判所による調停・審判で決めてもらうことになります。家族同士が裁判で争う事態は避けたいところです。遺言がないと面倒なことにつながりやすいのです。

子どもと両親がいない夫婦は、亡くなった配偶者の兄弟姉妹も法定相続人。

子どもと両親がいない場合、配偶者がすべての財産を相続できるわけでなく、亡くなった人の兄弟姉妹も法定相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなっていても、代襲相続によって、その子どもであるおい・めいが法定相続人になります。
この場合、配偶者の法定相続分は4分の3で、兄弟姉妹の法定相続分は4分の1です(図表参照)。そのため、預貯金のすべてを渡さなければならなくなったり、自宅を売って分けなくてはならないということもあります。
そこで、子どもがいない夫婦でお互いに全財産を相続したい場合には、遺言があると大きな意味を持ちます。兄弟姉妹には最低限の相続分である遺留分はなく、遺言に異議を申し立てることはできないので、遺言にその旨が書かれていれば、確実に配偶者に全額相続させることができるのです。

遺言があれば、社会貢献できる。

さらに、遺言があれば、自分の意思でかわいい孫などの相続人でない人に財産を渡すことができます。また、災害にあわれた方や恵まれない方のためや福祉、芸術、教育など社会に役立てることもできるのです。
法定相続人がいない場合は、一定の手続きを経た後、最終的にはすべて国のものとなります。内縁関係にある配偶者、事実上の養子、故人と一緒に生活をしていた人や献身的に病気の介護をしていた人などは、家庭裁判所で特別縁故者として認められれば、財産を分けてもらうことができます。
しかし、必ず認められるとは限りませんので、遺言があるとよいでしょう。

【図表】法定相続人と法定相続分

なお、本文は特定の商品などの勧誘を目的とするものではなく、
文中の意見にあたる部分は筆者の見解であり、三菱UFJ信託銀行を代表するものではありません。

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